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物語をさがして

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【ライター】ニシハマカオリ 愛知県日進市在住。小学校教諭を経て現在はイラストレーター・絵本作家として活躍中。地域に伝わる物語を紐解いたり、書き手や出版社にインタビューしたり、物語… もっと読む
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#民話

椿の森の河童伝説

物語をさがして vol.27 こんにちは。少し前まではお花見だ新学期だなどと思っていたのが、あっという間に初夏の日差しを感じられるようになり、水田や川の水もきらきらと輝いて見えます。川というと、名古屋に河童伝説があるのをご存じですか? 今回は、河童の伝説についてのお話です。 椿の森の河童『尾張名所図会』によると老人は名古屋城巾下門の西に隠居していた「河合小伝治」という武士であったとあります。伝承ではこうして住所や氏名がそれらしく語られることがありますが、何かリアリティがあ

あたらしい機織池(はたおりいけ)伝説

物語をさがして vol.23 2023年になりました。新しい年になりましたが、私は今日も古い物語の本をめくっております。そして、ふと気づいたことがあります。 この辺りに伝わるお話に「機織池」「機織石」など、機織りに関連するお話がしばしば見られます。おそらく、全国各地にもあるのではないでしょうか。 布を生産する自動式の織機が生まれる前、「機織り」は家の中での主に女性の手による大切な仕事だったと思います。どのお話にもよく働く女性が出てきます。 ところが、そんな機織りの話は

くすのきさん

物語をさがして vol.21 見知らぬ場所に行って、枝ぶりのよい樹木やスケールの大きな巨木を見るとなぜかわかりませんが「おお!」と感動し、写真を撮りたくなってしまいます。樹齢は何年だろう、どんな景色を見てきたんだろう、いろいろと想像をかきたてられ、畏敬の念さえ感じてしまいます。 そんな大木は、神社や大きな公園によくみられるものという印象がありますが、名古屋の街中にも、推定樹齢千年と言われる木があるそうなんです。 今日は、松原緑地の大きなクスノキ(愛知県名古屋市中区松原1