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俳句と暮らす

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【ライター】後藤麻衣子 岐阜出身・岐阜在住のエディター、プロダクトデザイン事務所「株式会社COMULA」ディレクター。趣味は俳句で、俳句のための文具ブランド「句具」を運営。「句」… もっと読む
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#岐阜

知的好奇心をくすぐる本と出会う、まちの小さな本屋さん

俳句と暮らす vol.28 岐阜・各務原のセレクトブックストア 昨年11月3日、文化の日に、岐阜・各務原市に素敵な書店がオープンしました。 新刊と古本のセレクトブックストア「カクカクブックス」。 今回は、オープンしたばかりの話題の本屋さんへ取材へ行きました。 この連載は「俳句と暮らす」ですが、本屋さんには季語らしきものは見当たりません。 が、実はこの「カクカクブックス」には、かわいい看板猫がいるんです! 「猫の恋」「子猫」は春の季語です 「猫の恋」という言葉を聞いた

“俳句ことはじめ”は、俳句を「読む」ことから

俳句と暮らす vol.20 趣味で俳句を楽しんでいると、「俳句に少し興味があるんだけど、どう始めたらいいかわからなくて…」と相談されることがあります。 確かに、いきなり「一句詠んでみる!」というのは、少しハードルが高め。 そんな人には、「読んでみることから始めてみては?」とおすすめしています。 俳句の世界に触れるミュージアム 岐阜県大垣市に、「奥の細道むすびの地記念館」があります。 その名の通り、松尾芭蕉の紀行文『奥の細道』に関する資料を展示している、俳句のミュージアム

人と人、人とまちをつなぐ、岐阜市生まれのクラフトビール

俳句と暮らす vol.16 小さなビール醸造所で、醸造家が精魂込めて造るビール、クラフトビール。 クラフトビールが地域の魅力のひとつとして定番化し、さまざまなお店で各地こだわりのクラフトビールが飲めるようになりました。 それぞれ、趣向の異なる複雑で個性的な味わい。 醸造家のこだわりを詰め込んだもの、その土地の特産品などを原料に活用したものなど、新しいビールがどんどん誕生しています。 夏もすっかり深まり、まもなく夏も折り返しの「夏至」。 「ビールがおいしい季節になったね!

闇の中で、鵜と人と川の声を聴く「長良川鵜飼」

俳句と暮らす vol.14 5月5日に、立夏を迎えました 5月5日に、二十四節気の「立夏」を迎えました。 いよいよ、待ちに待った夏がやってきます。 生命感みなぎる夏。 青葉若葉がきらきらと輝いていて、とても大好きな季節です。 この時季、「新緑が気持ちいいなあ」と感じる人は多いと思いますが、私が俳句や季語を知ってから、さらに解像度高く“夏らしさ”を感じられるようになりました。 道端で見かける花や雑草、鳥の声や風の音、夏らしい空気、香り…。 季語がアンテナがわりになって

自慢の図書館メディコスと、“シビックプライドプレイス”

俳句と暮らす vol.12 一日中楽しめちゃう「みんなの森 ぎふメディアコスモス」 「わああっ、これが図書館?」 「すごーい!」 「こんなところが家の近くにあったら、入り浸っちゃいそう…!」 県外の友人に、どこかおすすめの場所に連れてって!と言われると、私には決まって案内する場所があります。 岐阜市の複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」です。 「みんなの森 ぎふメディアコスモス」、通称“メディコス”。 岐阜市立中央図書館や、市民活動交流センター、ステージのあ

芭蕉ゆかりの大垣、川湊の桜と舟下り

俳句と暮らす vol.11 芭蕉ゆかりの俳句のまち、岐阜県大垣市 岐阜県南西部に位置する、岐阜県大垣市。 全国でも有数の自噴帯に位置しているため、市内のあちこちに自噴井や湧水があり、冷たくておいしい水が飲み放題!という「水の都」です。 自噴井は、ペットボトルやタンクを持って水を汲みにくる住人でいつも賑わっています。 そんな水の都で生まれた名物が「水まんじゅう」。大垣の夏の風物詩です。 水がおいしい大垣は、和菓子の老舗や有名な酒蔵も多く、たくさんのおいしいものに出会え

職人の手仕事を感じるノート

俳句と暮らす vol.10 「俳句と暮らす」も、vol.10を迎えました。 毎回、季語やそれに関連する場所やモノ、人を訪ねて文と俳句を綴ってきましたが、今回は手前味噌ながら、俳句のための“道具”のお話を。 夫と二人で営んでいるデザイン会社では、俳句のための文具ブランド「句具」を運営しています。 先日ご紹介した二十四節気カレンダーや、俳句を書くためのノート2種、俳句を額装して飾るためのカンバスや、ポストカードなどがあります。 今回の主役は、俳句を句集のように綴っていくため

「山のいのちをつなぐ、春の森の香」 俳句と暮らす vol.09

まだ寒さの厳しい2月ですが、そのなかに少しずつ、春を感じ始めています。 みなさんにとって「春の到来を感じる瞬間」って、どんな一瞬でしょうか。 道端のたんぽぽやつくしに気づいたとき。 いつも通るあの道に、桜が咲き始めたら。 和菓子屋さんに並ぶ、桜餅や草餅を見て。 「春が来たなあ」と感じる瞬間は、人それぞれですよね。 今回訪ねるのは、飛騨高山。 この春、我が家にお迎えしたばかりの “春の森の香り” のお話です。 香りで春を告げる山里の花、辛夷 「辛夷(こぶし)」は、山

「舟で渡る県道、小紅の渡し」 俳句と暮らす vol.07

もうすぐ1月が終わり、2月4日には「立春」、春を迎えます。 私の自宅は、長良川に架かる大きな橋のひとつ、忠節橋の近くにあります。 毎朝、毎夕、車で(たまに徒歩で)橋を渡るとき、長良川や金華山を眺めながら、その日の川の表情や機嫌、季節の移ろいを感じています。 市街地の中心にある大きな長良川は、川の近くで暮らす私にとって大きな“余白”。 岐阜駅前の、建物が密集する騒々しい通りから、橋を渡った瞬間に景色が変わります。 ぱあっと視線の先がひらけて、近くの金華山や岐阜城、静かな長良