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俳句と暮らす

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【ライター】後藤麻衣子 岐阜出身・岐阜在住のエディター、プロダクトデザイン事務所「株式会社COMULA」ディレクター。趣味は俳句で、俳句のための文具ブランド「句具」を運営。「句」… もっと読む
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記事一覧

知的好奇心をくすぐる本と出会う、まちの小さな本屋さん

俳句と暮らす vol.28 岐阜・各務原のセレクトブックストア 昨年11月3日、文化の日に、岐阜・各務原市に素敵な書店がオープンしました。 新刊と古本のセレクトブックストア「カクカクブックス」。 今回は、オープンしたばかりの話題の本屋さんへ取材へ行きました。 この連載は「俳句と暮らす」ですが、本屋さんには季語らしきものは見当たりません。 が、実はこの「カクカクブックス」には、かわいい看板猫がいるんです! 「猫の恋」「子猫」は春の季語です 「猫の恋」という言葉を聞いた

万年筆とインクで美濃和紙に。喫茶で綴る「便り」。

俳句と暮らす vol.27 岐阜・柳ヶ瀬近く、まちのサロンのような喫茶「星時」築50年を超える雑居ビルをリノベーションしたアトリエビル「カンダマチノート」の2階に、隠れ家のような可愛い喫茶があります。 喫茶「星時」。 おいしいコーヒーと可愛いケーキをオーダーして、本を読みながらのんびり過ごすにはぴったりの素敵な空間です。 ライブや落語会、ヨガやタロットなど文化度の高いイベントも頻繁に開催されている「星時」さん。 老若男女たくさんの人が集っている、まちの休憩所のようでいて、

稲藁を“綯う”、伝統的な注連縄づくり

俳句と暮らす vol.26 注連縄飾りで、お正月を迎える準備なにかと慌ただしい年の瀬。 新年を迎える準備をしつつ、忙しく過ごしている人も多いと思います。 「お正月といえば!」というものは数多くありますが、各家庭の玄関先や神棚に飾られる「注連縄(しめなわ)」もそのひとつ。 玄関先などに飾られている注連縄の存在感がいかにも、新しい年を迎える期待感そのものだと感じます。 もちろん「注連縄」は季語です。 ですが「冬の季語」ではなく、「新年の季語」です。 俳句の世界では、春夏秋冬

“自分でつくる”が新しい、手作りハーブ入浴剤

俳句と暮らす vol.25 12月22日、一年で最も昼が短い「冬至」 肩までしっかり浴槽のお湯に浸かって、ふうっと一息つくと、ふわっと体が浮いているような感覚になるあの瞬間が大好きです。 こわばった体から自然と力が抜けて、心身ともに緩まる実感。 目を閉じて、大きく深呼吸をした瞬間に、大好きな香りを感じることができたらもう最高。それが、私が入浴剤が好きな理由のひとつです。 今年の冬至は、12月22日。 冬至の日には、南瓜や冬至粥、こんにゃくを食べて、柚子湯に入る習慣があり

思いのままに、ちくちく。まちの家庭科室「HUKIN」

俳句と暮らす vol.24 編み棒と毛糸で、のんびりゆったり冬支度 ついこの間、木々の葉が色づきを増してきたなあと眺めていたら、いつの間にか裸木も多くなってきました。 いよいよ、本格的な冬がそこまでやってきています。 澄んだ空をふと見上げると、遠くの山々にはうっすらと雪が。 今の二十四節気は「小雪」。 「小雪」には、そろそろ雪が降り始める頃という意味もあります。 寒くなると私は、編み物が恋しくなります。 冬の季語には「セーター」や「マフラー」などがありますが、「毛糸編む

冬の柳ヶ瀬を遊び倒す2ヶ月間「柳ケ瀬日常ニナーレ」へ!

俳句と暮らす vol.23 今年が記念すべき第1回!「柳ケ瀬日常ニナーレ」 11月7日に立冬を迎え、暦は冬へ。 今回の「俳句と暮らす」は、岐阜の柳ケ瀬商店街でこの冬開かれる面白そうな催しのご紹介です。 柳ケ瀬商店街は、私の事務所から徒歩ですぐ行けるので、毎日のようにランチやちょっとした買いものに出かけています。 レトロな喫茶店や映画館が残る昔ながらのアーケード商店街ながら、コーヒースタンドやセレクトショップ、若者が集うシェアビルなども入り混じる、新旧混在の商店街。 人間味

香り高い珈琲と、くちどけ豊かなお菓子。岐南町の洋菓子店「流星」

俳句と暮らす vol.22 今秋オープンしたばかりの「洋菓子と珈琲 流星」 今年9月、岐阜県岐南町のHOCUS POCUS内に、おしゃれな洋菓子屋さんがオープンしました。 お店の名前は「流星」。 「流星」は秋の季語です。 日々いろんなところに季語を見つけ出してはウキウキしている私。 お店の名前を聞いたときの第一印象は「季語だー!」でした(笑)。 今回オープンしたばかりの「流星」さんは、実は各務原市の人気カフェ「喫茶室 山脈」さんの姉妹店なんです。 「山脈」は、犬山城家老

ひとつ2,000円!? 秋冬の贅沢おやつ「堂上蜂屋柿」

俳句と暮らす vol.21 岐阜の里山の恵み、最高級干柿「堂上蜂屋柿」 秋になると必ず食べたくなる、私の大好きなおやつがあります。 それが、「干柿」です。 フレッシュな柿も大好きですが、干柿は別格のおいしさ。 自然の甘みがぎゅっと凝縮されたあの味、独特のねっとりとした食感は、ついいくつも手が伸びてしまう、この時季ならではのごちそうです。 「干柿」は秋の季語です。 岐阜生まれ・岐阜育ちの私にとって、柿はとても身近な果物。 実家にも隣家にも柿の木があり、家の近くに大きな柿畑

“俳句ことはじめ”は、俳句を「読む」ことから

俳句と暮らす vol.20 趣味で俳句を楽しんでいると、「俳句に少し興味があるんだけど、どう始めたらいいかわからなくて…」と相談されることがあります。 確かに、いきなり「一句詠んでみる!」というのは、少しハードルが高め。 そんな人には、「読んでみることから始めてみては?」とおすすめしています。 俳句の世界に触れるミュージアム 岐阜県大垣市に、「奥の細道むすびの地記念館」があります。 その名の通り、松尾芭蕉の紀行文『奥の細道』に関する資料を展示している、俳句のミュージアム

土地の記憶を、未来へ美味しく手渡す “文化のコーラ”

俳句と暮らす vol.19 シュワっと爽快で、今のように暑い時期に飲みたくなる「コーラ」。 炭酸の効いた「ソーダ水」や「サイダー」「クリームソーダ」などはすべて夏の季語ですが、「コーラ」を夏の季語としている歳時記もあります。 「コーラ」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか。 きっと、みなさん思い浮かべる味はひとつ、あの味だと思います。 でも今、あの味じゃない、個性あふれる“クラフトコーラ”が、今各地で人気を集めているのはご存知でしょうか。 「コーラ大好き!」という

手を動かしてことばを書き記す、ということ

俳句と暮らす vol.18 パソコンやスマホなどのデジタルデバイスを使うことが多くなり、「ゆっくりと文字を書く」機会が減っている現代。 今この記事もパソコンの画面に向かい、キーボードをカタカタと打ち込んで文章を綴っています。 ひらがなを入力すればパッと漢字にしてくれて、誤字や脱字を親切に教えてくれて。 書いたり消したりコピペしたりも自在で、「やっぱりさっきの状態に戻したいな」と思ったらすぐに時間を巻き戻せて。 私の「書く」というお仕事においては、パソコンやスマホは必需品で

摘みたて苺のあの味を、パンと一緒に頬張る夏

俳句と暮らす vol.17 スーパーに初物のいちごが並びはじめるのは、毎年12月ごろ。 その頃から、いちご狩りのシーズンも始まります。 凍てついた真冬の空気にいちごの明るさがまぶしくて、「もうそんな季節かぁ」と感じさせてくれますよね。 12月から初物のいちごが出回る現代では「いちごの旬は冬から春あたりでしょ?」と思われがちですが、実は「苺」は、夏の季語なんです。 本来、いちごは初夏のもの 今ではハウスで栽培されるいちごですが、露地のいちごは、だんだんと暖かくなってくる5

人と人、人とまちをつなぐ、岐阜市生まれのクラフトビール

俳句と暮らす vol.16 小さなビール醸造所で、醸造家が精魂込めて造るビール、クラフトビール。 クラフトビールが地域の魅力のひとつとして定番化し、さまざまなお店で各地こだわりのクラフトビールが飲めるようになりました。 それぞれ、趣向の異なる複雑で個性的な味わい。 醸造家のこだわりを詰め込んだもの、その土地の特産品などを原料に活用したものなど、新しいビールがどんどん誕生しています。 夏もすっかり深まり、まもなく夏も折り返しの「夏至」。 「ビールがおいしい季節になったね!

楼門のむこう、川に神の岩が鎮座する「洲原神社」

俳句と暮らす vol.15 大切なひとにだけ耳打ちするように、こっそりと教えたいお気に入りの場所。 そんな心の拠りどころのような場所を持っている人は、多いと思います。 私にとってそれは、神社やお寺だったりします。 ふと通りかかった神社に吸い込まれるように足を踏み入れ、ゆっくりとそこに身を置くだけで、心がすっと晴れやかに、心身ともに清らかにリセットできる、そんな存在の場所です。 偶然出会う神社やお寺もいいけれど、季節が巡るたびに「そろそろ参拝したいな」と思い出す、大好きな