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俳句と暮らす

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【ライター】後藤麻衣子 岐阜出身・岐阜在住のエディター、プロダクトデザイン事務所「株式会社COMULA」ディレクター。趣味は俳句で、俳句のための文具ブランド「句具」を運営。「句」… もっと読む
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2022年1月の記事一覧

「舟で渡る県道、小紅の渡し」 俳句と暮らす vol.07

もうすぐ1月が終わり、2月4日には「立春」、春を迎えます。 私の自宅は、長良川に架かる大きな橋のひとつ、忠節橋の近くにあります。 毎朝、毎夕、車で(たまに徒歩で)橋を渡るとき、長良川や金華山を眺めながら、その日の川の表情や機嫌、季節の移ろいを感じています。 市街地の中心にある大きな長良川は、川の近くで暮らす私にとって大きな“余白”。 岐阜駅前の、建物が密集する騒々しい通りから、橋を渡った瞬間に景色が変わります。 ぱあっと視線の先がひらけて、近くの金華山や岐阜城、静かな長良

「二十四節気でめくるカレンダー」  俳句と暮らす vol.06

2月のはじめ、節分の頃になると、天気予報士さんがよく「暦のうえでは春ですが…」という言葉を発します。 この言葉の中にはおそらく「立春を迎えたとはいえ、まだまだ寒い日が続いていて、春って感じじゃないですね」みたいな意味を含んでいると思うのですが、実はいつも、この「暦の上では」という表現に違和感をおぼえてしまう私がいます。 2月4日頃というと、まだしっかり寒いころ。 確かに、一般的な「春」の温暖なイメージとは離れているかもしれません。 でも、季節というのは「この日からこの日ま