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俳句と暮らす

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【ライター】後藤麻衣子 岐阜出身・岐阜在住のエディター、プロダクトデザイン事務所「株式会社COMULA」ディレクター。趣味は俳句で、俳句のための文具ブランド「句具」を運営。「句」… もっと読む
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2021年12月の記事一覧

「新聞で研ぐ包丁のしなやかさ」  俳句と暮らす vol.05

「包丁始」。 聞き慣れない言葉かもしれません。 これは「ほうちょうはじめ」と読む、俳句の季語のひとつです。 「包丁始」は、年が明けた正月、包丁やまな板を使った台所仕事を、今年最初にすること。 料理のような毎日のタスクも、“今年初めて”という意味の「始」が付くことで、ほのかな特別感とめでたさ、これから始まる一年への期待感が漂います。 きょう訪れるのは、岐阜県関市。 清流・長良川が流れる美しい水系、山あいに広がる豊かな自然。 良質な焼刃土や豊富な松炭に恵まれたこの土地は、

「冬至の川たゆたう、こよみのよぶね」  俳句と暮らす vol.04

今年の冬至は、12月22日。 冬至とは、一年でもっとも夜が長い日です。 岐阜の長良川では毎年この日に「こよみのよぶね」という行事があります。 冬至の日、1から12の数字と、その年の干支のかたちをした巨大な行灯が、やさしい光を灯して長良川に浮かびます。 「こよみのよぶね」とは 鵜飼や天然鮎で知られる、岐阜・長良川。 長良川流域では、1300年以上続く美濃和紙をはじめ、岐阜提灯や和傘など、川文化に育まれた工芸や産業が栄えてきました。 この伝統文化を背景に、2006年に生ま