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アルテコローレの絵本屋さん

物語をさがして vol.05

こんにちは。これまでの「物語をさがして」では、江戸時代から昭和初期と古い物語を訪ね歩いてきましたが、今回は一度タイムマシンから下り、現在地に戻りまして、日進市のアートラボの中にある楽しい絵本屋さんをご紹介したいと思います。


訪れたのはアートラボ「アルテコローレ(日進市米野木台)」

アルテコローレは名鉄米野木駅からほど近い場所、県道57号沿いにあります。とても可愛らしい黒いクマちゃんが目印。一見、雑貨屋さんか洋菓子屋さんのようなたたずまい。

ここは全国的にも珍しい、0歳から通えるアートラボです。遊びや制作の体験を通して、子どもの学びや成長を親御さんと一緒に見守るという、他にはないユニークな活動をされていて、その取り組みやノウハウは、ここ日進市から全国の保育者や子育て家庭に発信されています。

SNSでも発信されているラボの活動を拝見すると、ちょっと家庭では体験できないようなワイルドな素材、例えば・・・土とか、チョークの粉とか、その他、口に入れても大丈夫な材料が出てきて、ワクワクドキドキします。また、夢のようにきれいな発色、思いがけない偶然で生まれる形、そして子供たちのいきいきした表情!見ているだけで本当にうっとりしてしまいます。たくさんの素材や遊び心にあふれていて、ラボはまるで秘密基地のようです。

ラボの戸棚。ユニークないろとりどりの素材のストック。宝の山のよう!
黒板のメッセージもぐっときます

ただ、自分はもう子どもが大きくなってしまったので、子連れでラボに立ち寄ることができないのが残念でなりませんが・・・大丈夫です、アルテコローレの中には絵本屋さんがあって、通常、日・月・水の10:00-14:00はオープンしていますから。(詳細は絵本屋さんカレンダーによる)


アルテコローレの絵本屋さん

入口からわくわく。『そざい探求ラボ』は、アルテコローレ代表 桐嶋歩さんの著書
絵本屋さんスタッフよりすぐりの絵本たちが出迎えてくれます

大きな木製の本棚には、赤ちゃんから未就学児、また、その保護者さんが見ても楽しい色とりどりのかわいい絵本が並んでいます。

絵本屋担当スタッフの堀田さんは、以前に古本屋にお勤めされていたこともあるのだそうで、ご自分の「好き」を大事に選書しているとのこと。大型書店のような品ぞろえではないのに、何かどの本も訴えかけてくるようで、見ていて飽きることがありません。

『おかあさん』大野 舞 『ぞうさん』山本 まもる ミキハウス刊

高さ8センチほどの、とても小さいサイズの絵本も。堀田さんに教えていただいたのですが、こういう、丈夫な作りで180度ぱかっと開けるものを「ボードブック」というそうです。子どもの小さいてのひらがこれを開く様子を思い浮かべると楽しい気持ちになってしまいます。

販売の本以外にも、ラボのお子さんたちが手に取って読んだり、貸し出したりできる絵本のコーナーもありました。ぐっと低い目線の先に広がるわくわく絵本ワールド。


アルテコローレの人気絵本たち

アルテコローレで、子どもたちに人気の本はどのようなものか、聞いてみました。
自分の絵本作りにも役立つのではとの下心もあり・・・

まずはこの1冊、

『ゆびでスタンプ かんたんおえかきブック』

フィオナ・ワット(著/文)エリカ・ハリソン(イラスト) 岩崎書店

絵本の横に、指にスタンプできるカラフルなインクパッドがついていて、お絵かき遊びができる本です。顔料は安全性のテストがされており「指先をつかう気持ちよさ」「想像力を育む」といったよさが注目です。

そして、もう1冊は、

『かいてかいて』

谷川 俊太郎(著/文)和田 誠(イラスト) クレヨンハウス

谷川俊太郎さんが文を、和田誠さんが文字を書かれて、本文は白紙になっています。読者は分のままに絵を描いて、自分だけのオリジナル絵本を仕上げるという、参加型の絵本になっています。

どちらの本も、読者参加型、というより読者主導、読み手であると同時に創り手にもなれるというものでした。これはアルテコローレならではの特徴だと思います。

最後に、私がひと目ぼれして購入した本はこちら

『ねこだらけ』

あきびんご(著/文)くもん出版

タイトル通り、ねこばかり、400匹並んでいる絵本です。いろんな種類のねこ、いろんな模様のねこ、いろんな民族衣装のねこ、相撲取り化したねこ、地蔵化したねこ、とにかくなんでもありの、ねこねこねこのねこづくし。いや、よく見たらチーターやライオンもいましたが!この本のねこたち、ユニークで、愛をもって描かれていますが、どの猫もまったく媚びていないし個性的。目がいきいきしていて大好きです。

そういえば、前回の記事も「大草のねこ」を取り上げましたが、私は特にねこ好きでもないのです。だけれどこんなにも心打たれてしまいました。ねこ好きの方だけにとどまらず、どなたにもおすすめの1冊です。


春の絵本交換会

絵本屋さんでは絵本の販売以外にも随時イベント企画が実施されています。取材をした折にはちょうど「春の絵本月間」で「絵本交換会」が行われていました。家にあるもう読まなくなった絵本を持ち込み、春色にカバー・ラッピングをするというものです。

カバーされたかわいい絵本たち

持ち込んだ人は交換券がもらえるので、代わりに別のラッピング絵本をもらっていくことができます。中身が見えないので何が出るかは開けてからのお楽しみ!!(ただし、家にあるものとかぶらないように、保護者の方にはわかるようになっています)

かぶり防止のために保護者にはタイトルが分かるしかけ

ラッピングするのもほどくのも、わくわく、たのしい時間ですね。

ラッピング材料あれこれ

春の絵本月間は3月末で終了しましたが、絵本交換会は度々開催されるようですので、ご興味のある方はウェブサイトより絵本屋さんのスケジュールをご覧ください。


最後に


本取材では、物語をさがして絵本屋さんを訪れましたが、アルテコローレにあったのは、童話のような既存のお話ではなくて、自分の手で探す、作り出す、見つける物語だったように思います。子どもたちに人気の絵本も、遊びごころともにアクティブな参加志向が現れているようで、とても頼もしく思えました。

世の中にはたくさんのメディア、コンテンツがあふれかえっていますが、その中から自分にとっての「良い」や「好き」を見つけたり、自分だけのオリジナルを創ること、また、その過程は、とても価値のある事だなと、アルテコローレの本棚や、ラボを眺めながら感じることができました。

子育てをする立場としても、子ども向けの制作にかかわる者としても「よいものを与える」というよりも「よいことを一緒に分かち合う」姿勢を大事にしていけたらいいなあと思います。そうすれば自分もまだ少しは成長できるのかもしれません。日々本当にめざましい子どもたちの成長に置いて行かれないように。

■アルテコローレ情報
『何をつくるか決めない造形遊び そざい探究LABO』桐嶋 歩 酒井 美里 (ひろばブックス)
アルテコローレのウェブサイト
https://arcolo2011.com/
アルテコローレの絵本屋さんinstagram https://www.instagram.com/arcolo_book/


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