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花との対話

花、暮らし、私 vol.17

先日の父の日のこと。

花束とギフトを渡しに実家に行き、久しぶりに両親と囲む食卓を楽しんだ後、
「そういえば、整理してたら出てきたよ。」
と、母が棚から出してきてくれたものがありました。

幼稚園時代から中学時代までの通知表や写真など、なんとも懐かしく恥ずかしくもある物が束になって、大切に保管されていました。

小学校の通知表って、成績だけでなくどんなクラブや部活に入っていたか、授業態度や先生から見た私の性格なんかも書かれていたりして、思わずクスッと笑ってしまうようなものも。
おぼろげな記憶だった当時の私の様子を伝えてくれる大切なものとの再会に、ほっこり。

その中でも特に、幼稚園の先生が作ってくれたカードには嬉しい驚きが。

おおきくなったら、[はなやさん] になりたいな

今でこそ花の仕事をしている私ですが、幼稚園の頃に「はなやさんになりたい」と思っていたなんて、全く覚えていなかったのです。

小さな頃から、私にとって花の存在は大きかったと知り、なんだか嬉しくなりました。
花屋さんという形態ではないものの、紆余曲折、いろんな道を通ってきたからこその今のスタイルですが、当時の私は喜んでくれているかな。

そんなこともあって、花との関わりを思い返すきっかけとなりました。


花との出会い


幼少期、「花が好き」という自覚があったことも覚えていない私は、大人になるまですっかり花とは縁遠い時間を過ごすのですが、20代のある時期、贈り物でいただいたアレンジメントに衝撃を受け、一気に花が好きになりました。

「好き」と自覚すると、不思議なことに日常で見えるものが変わってきます。道端に咲く花を見つけるのが楽しくて、下ばかり見て歩くことが増えました。

自然溢れる山へ行ったりしなくても、その辺の街中でも、花との出会いは沢山あります。
どこへ行っても、何かを探すクセがつきました。見つけられた時が本当に嬉しくて、一人でニヤニヤする変人っぷりを隠すこともなく、散歩することが増えました。


命をいただく


花の仕事をしていると、都度、自問自答することがあります。

なぜ、私たちは花を飾るのか?

だって、自然に咲く花が一番美しいと思うのです。それなのに、生きている花を切って活ける。花の命をいただく。
生きるためではなく、私たちは花の命を奪っている。食べ物と違い、それをしなくても生きられるはずなのに。

このことについて自分に長年問いかけています。

それはしてもいいことなのか?
私は、私たちは何故それをするのか?
その答えが出ないまま、花の仕事をしていました。
ただ感謝の気持ちを忘れないとだけ決めて。

その長年の問いに、答えとまでは言えないけれど、少しだけわかったことがあります。

食べ物と違い、私たちは体の中に花を直接取り込んで消化するわけではない。
けれど、私は花の姿形を通り越して、そのエネルギーや波動を、視覚から、肌から、香りから身体に取り込んでいて、それは確実に、生きるためのパワーになっているのです。


花とデザインと

野に咲く花が一番美しいと思います。

だけど、その花を例えばどこかのお部屋に活けたとして、その空間でその花に出会った人が何かを感じたとするでしょう。

今までは、それが、花を扱う人の経験や感性や身体を流れる波動だったり、そういったものが花と合わさって起こるものだと思っていたのです。

けれどある日、ふと
草原に咲く花を見て気がついたのです。

"誰に届けるか"
なんだな、と。

これは、デザインと同じだなって。

"誰に届けるか" を、細かく細かく明確化していく事によって、その訴求力というか、力が増す。届けたい人に届く。
逆に、広く広く、沢山の人に届くようにつくるものは、全員を優しく受け止めてくれるけど、誰かの胸を強く動かす事はなかなかできなかったりもする。

それはどちらが良いとか、そういうことではなく、どちらも存在していて、どちらも必要で、どちらも誰かを支えている。

私がこうして道端の花にいちいち感動したりするのは、自分はそれが好きだと知っていて、普段から注意深く無意識にそれらを探しているし、心の微細な動きを受け止める準備をしているからなんだなと。

お仕事で花を扱うときは、誰のどんな想いを誰に届けるのか。それをひたすら意識しています。
その花を見た誰かの心を動かすような事ができるとしたら、そんなに幸せな事はない。

草原に咲く花を見て、まとまりなくとっちらかりながらもこれまで自分がやってきたことは、やっぱり全て同じことなんだなと、妙に納得しました。

私はフラワーデザイナーとして、こんな対話を日々重ねています。



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