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「花と料理と生きる 〜食べられる花、エディブルフラワーを楽しもう」 花、暮らし、私 vol.09

こんにちは。
少しだけ、あたたかくなって来たような気がする今日この頃。春はもうすぐそこですね!
今回の記事は、そんな季節にふさわしい明るくうきうきした気持ちになれる記事をお届けしたいと思います。

みなさんは、「エディブルフラワー」をご存知ですか?
[edible]=食べられる。
その名の通り、食用として栽培された食べられるお花です。

ここ数年でその存在や人気は知られることも増えてきましたが、もともと日本には食用菊や、しその穂、菜花など、お料理に添えられる食用の花=「つまもの」が昔から存在しています。

現在では洋花の食用花を栽培する生産者さんも増え、エディブルフラワーの種類も豊富になってきました。日本ではこのエディブルフラワーも「つまもの」の一部とされています。

実はこのエディブルフラワー含む「つまもの」。愛知県が「花き(観賞用の花や植物)」と共に生産量全国1位なのです!このことについては、ひょっとしたらご存じでない方も多いかもしれません。

今回はこの「エディブルフラワー」について、愛知県にある素敵なレストランにお邪魔してシェフにお話を聞いてきました。

場所は日進市の住宅街の一画。
植物に囲まれ、ひっそりと、でも美しい存在感を携えたお店[C’EST CHOUETTE セ・シュエット]さん。
私の記憶している中では、愛知県でエディブルフラワーを使用した料理の先駆けとなったお店だと思います。オープンした数年前からずっと、賑わっているお店です。

エディブルフラワーやハーブを使ったお料理で、視覚も満足しながら「身体の中から美しく」をコンセプトにしたフレンチカフェ。

「カフェ」とついているけれど、ランチ・ディナーではしっかりと丁寧な料理が気軽に楽しめます。

このお店で使われているエディブルフラワーは、自家農園で育てられているそうです。食材へのこだわりが感じられて素敵ですね。

コンセプトにもある、「身体の中から美しく」というワードからも伝わるように、実はエディブルフラワーには野菜にも引けを取らない、種類によっては野菜以上(!)の栄養素がたくさん含まれているのだとか。

今日はここセ・シュエットさんで、実際にエディブルフラワーを使った料理をいただいてきました。

ランチメニューの中でもエディブルフラワーが存分に楽しめる[セ・シュエットプレート]を迷わず注文します。

鮮やかなエディブルフラワーで彩られたワンプレートが運ばれてきた瞬間から、自分の顔がほころんでいくのを感じました。

記事用の写真撮影もあったのですが、可愛すぎてなかなか食べ始められません(笑)。
料理だから食べなきゃと自分を言い聞かせ…さっそくいただきます!

やわらかく、軽い食感。お花自体にはさほど味というものはないのですが、種類によっては多少ふんわりと香りが広がるもの、ちょうど良い苦味を感じるものも。お料理の味を邪魔せず、食感や色彩を楽しむことができて、とてもワクワクするサラダでした!

そして今回私はエディブルフラワーを食べるために来ているのですが…他のお料理ももちろん美味しいんです!
大好きなカボチャと人参に、ひじき。プレートに盛られたどのお料理にも、ふわっと香るスパイスやハーブが使われていて、プレートのどこをとっても美味しい工夫が凝らされたお料理でした。一つ一つ丁寧につくられたのが伝わって来ます。ついつい、どんなスパイスやハーブを使っているのか後から聞いてしまいました。

メイン料理はお魚をチョイス。さわらのソテーにはブロッコリー・カリフラワーとともにロマネスコも添えられています。ビタミン・ミネラルが豊富で栄養価の高い野菜。エディブルフラワー以外にも、しっかりと健康を意識したメニューで嬉しいですね。

このサラダに使われているエディブルフラワーは、ビオラ・パンジー・プリムラ・ストック。季節によって収穫できる花が違うため、夏にはまた違う種類のエディブルフラワーが登場するそうで、これまた楽しみです!

そもそもこんなにたくさんの種類のエディブルフラワーがあることにも驚きです。


セシュエットの魅力!自家農園のエディブルフラワーたち


今回、オーナーシェフの長尾さんに直接お話をお聞きすることができ、とても楽しく学ばせていただきました。

「自家農園で育てられた」とだけ聞いても、あまりイメージが湧かないかもしれませんが、そもそもエディブルフラワーは切り花や園芸種の花とは違って、農薬不使用または野菜と同じ規格の減農薬栽培が基本です。
(注:観賞用の花は農薬が付いていることが多いこと、農薬が使われていなくてもお花にはもともと毒性がある種類もあるので、絶対に食用で育てられた花=エディブルフラワー以外は食べないでくださいね!)

そして、これはイメージしやすいかと思いますが、花には虫がつきものですよね。
自然に生えていて、子孫を残す為に虫を呼ぶように自然界で進化してきた花ならなおさら、無農薬で野菜を育てる以上に、無農薬で花を育てることは難しいのだそう。

そんなエディブルフラワーを、長尾さんは完全無農薬で、ご自身で育てられているというから驚きです。
だって、お店を構えて料理を作って、経営していくだけでも大変なことなのに、いつ農園の世話をしているの…?

––––寝てます?

長尾:寝てますよ!笑

お話をする中で、長尾さんが花好きなこと、只者ではないことが分かって来て、私の好奇心に火がついてしまったのを感じながら、質問は続きます。

––––野菜や切り花とは違う、エディブルフラワーだからこその苦労はありますか?

長尾:やはり、無農薬で花を育てるというのは難しく、ロスも多いですね。冬には畑の半分は虫に食べられてしまいます。それを見越して全体の量を調整する訳ですが、虫に食べられてもそれ自体が悪いことではなく、共存しながらこちらも花を使える状態にしました。
逆に育ちすぎて余ってしまう花も、ドライにして使用したり、色々と工夫してやっています。


このスタイルに、私はとても感銘を受けました。
全て人間の都合のいいように作られているような従来のシステムに、どこかで疑問を感じていたのかもしれません。
「邪魔だから駆除する」のではなく、「一緒に生きる」道を選ぶ。その選択は、生活や経済が絡んだ途端に、なかなか簡単には出来なくなるものだと思います。

セ・シュエットさんはオープンして約5年。
世の中も大きく変わり、どんな大変な状況の中でもそのスタイルを貫く姿勢に、感謝の気持ちが湧きました。

いち消費者である私は実際に野菜や花を自分で育てるわけではないので、偉そうなことは言えないのですが、直接応援やサポートをしたりということはできなくても、そういった生産者や提供者を応援することで、少しでも持続につながったり、同じような志を持つ生産者を増やす事もにも繋がるもしれない。長尾さんのお話を聞いて、そういうことから関わっていきたいな、と改めて思います。

––––そもそもなぜ、エディブルフラワーを使うお店なのですか?

長尾:子供の頃から花と料理が好きで!高校は農業学校で花の栽培を学び、そのあとは調理学校。そしてフレンチレストランで修行をして、今に至ります。両親の影響もあって、幼い頃からの「趣味の園芸」ファンですね。ずっと花と料理を突き詰めていくうちに、この形になりました。農園ではいろんな種類の花の栽培にトライしては失敗と成功を繰り返していますが、それも楽しみの一つです。
幼い頃からの友人には、「どっちも叶えたね!」と言ってもらえています。

幼少期からずっとぶれずに、二つのことを突き詰めて、どちらも融合させた形で叶える。その姿に勇気をもらいました。

今の時代、好きなことや仕事にすることを、1つだけに絞る必要はないと思います。長尾さんのように、自分の好きなこと両方を突き詰め、好きなバランスで形にしていく力こそ、これからの時代に求められる力かもしれませんね。

––––エディブルフラワーの魅力を教えてください!

長尾:冬はビオラやパンジー、プリムラ…夏にはナスタチウム、フロックス、チコリの花…季節によって変わるのも楽しさの一つです。6月頃には、「エディブルフレグランスローズ」という、とっておきの香り豊かなバラも登場します。その時期にしか食べられないお花を楽しんでもらいたいですね!

––––とてもワクワクするお話でした!ありがとうございます。

取材後の談笑中に、長尾さんからこぼれた言葉。
“自分で作った花を使って、料理をする“って、とても豊かなことだと思います!

好きなことを追い求めて、探求して、つくったものを誰かに楽しんでもらう。それを本人が一番楽しんでいるのが伝わってきました。こんな豊かな心で作られた花や料理だから、食べていて楽しくなるしファンも増えるのだなぁ。と、なんだか嬉しくなりました。

エディブルフラワーを求めて取材に行った先に、生き方の一つの解を教えてもらったような気がします。長尾さん、ありがとうございました!

最後に、忘れてはいけないデザートのレポが残っていますのでお楽しみください!

こちらもお花を存分に楽しめる[いちごとバラのパフェ仕立て]を注文。

これが本当に美味しくて…!バラの香りが素晴らしく、このデザートをいかに楽しんだかを忙しい長尾さんに熱弁するという、私の妙なハイテンション癖が発動してしまいました(すみませんでした)。

いちごにかかっているフレークのようなものは、ドライにしたバラの花びら。ローズアイスにローズジュレも香り豊かで癒しの時間でした。

いちごのシーズン限定メニューなので、3~4月頃(未定)までしか食べられません。ぜひシーズン中にどうぞ!

今回はランチにお邪魔しましたが、ティータイムにはアフタヌーンティーセットが特にオススメだそうです。また、今はテイクアウトメニューもご用意されているようなので、暖かくなったらエディブルフラワーピクニックなんていうのも贅沢ですね!

※予約が必要なメニューもあるので詳しくは公式informationをご確認ください。

店内の至るところに飾られている植物やスワッグも、長尾さん自ら束ねられているそうで、花好きシェフの提供する料理から空間すべて、細部まで楽しんでいただけるお店でした!皆さんも是非訪れてみてください。

■C’EST CHOUETTE
HP http://www.c-chouette.net/
Instagram https://www.instagram.com/c_est__chouette/
愛知県日進市香久山1-515 1A
※営業時間や休業日についてはお店の情報をご確認ください。



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