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「宇宙で野菜は育つのか?」  週末は愛菜家 vol.03
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「宇宙で野菜は育つのか?」  週末は愛菜家 vol.03

私たちが暮らす地球には800種類もの野菜があるそうですが、野菜って宇宙空間でも育つのかしら?
そんな素朴な疑問を抱いていたときに『宇宙農業の実現』に挑むスタートアップ企業が名古屋にあると知ったので、社長さんにお会いして話を聞いてみることにしました!

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今回お会いさせていただいたのが、株式会社TOWING代表の西田宏平さん。
名古屋大学で惑星や環境について学び、エンジニアとして大手自動車部品メーカーに就職。その後、『宙農(そらのう)』をテーマに宇宙農業の研究開発を行なうTOWINGを弟の亮也さんと設立。宇宙農業の実現にチャレンジされています。
JAXAが約50社のパートナーと進める地球と宇宙の食の課題解決プログラム「SPACE FOODSPHERE(スペースフードスフィア)」にも参画しています。

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土壌の技術で、月の土を畑に変える。


ーーー 今日はありがとうございます! まず、会社名「TOWING」の由来を教えていただけますか?

西田:ロケットを牽引する「トーイングカー」から名付けました。ワクワクするものを引っ張って、ゆくゆくは宇宙に打ち上げるんだ!という気持ちを込めているんです。

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ーーー 手がけているお仕事についても教えてください。

西田:私たちは農業の中でもソイル(土・土壌)に着目し、その研究開発を起点にプロジェクトを設計しています。開発したソイルを使った栽培ユニットでサツマイモなどを育てる研究をしたり、月や火星の土を農業用の土に変えるプロジェクトを進めたりしています。2022年の春には、研究開発のための自社農場を刈谷にオープンします。
また、開発した栽培ユニットを東海地域の農家さんに使っていただいたり、農業に関する新たな事業の立ち上げを企業さまと一緒に手がけたりもしています。東邦ガスさんをはじめとする地元企業との共同プロジェクトも現在進行中なんですよ。

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ーーー 「独自のソイル」とは、どのようなものですか?

西田:植物の炭に微生物を住まわせることでソイルができます。炭はアルカリ性が強いので普通は植物の栽培に向かないのですが、特定の微生物を住まわせることでそれが可能になって、有機肥料もスムーズに分解できるんです。農家さんは土づくりに何年もかけたりするのですが、私たちのソイルなら1ヶ月ほどで野菜作りに適した土壌を用意することができます。
月や火星の土を加工して、そこに地球から持ち込んだ微生物を培養して加えることで、地球からわざわざ土を運ぶことなく宇宙空間での野菜づくりも可能になります。

ーーー ところで、そもそも宇宙で野菜って育つのでしょうか?

西田:宇宙で野菜を育てる実験はNASAやJAXAがすでに行なっていて、宇宙ステーションで育てたレタスやバジルを宇宙飛行士がもう食べているんです。また、月面農場の計画も実際に進行中。月面の重力は地球の6分の1しかありませんが、水の制御さえしっかりできれば野菜を育てることが可能だと考えています。
しかし、月面まで物資を送るためには1kgあたり数百万円以上もかかってしまうと言われているので、できるかぎり現場で資材調達ができるよう研究開発を進めているんですね。


宇宙農業の技術で、地球の農業にも変革が。

ーーー ソイル(土・土壌)に着目したのはなぜですか?

西田:土の研究開発がなかなか進んでいなくて、ブラックボックスになっていたのがきっかけです。「有機肥料はいいよね!」とよく言われますが、私たちが調査してみるとそのうちの9割くらいは「正しく使われていない、もしくは機能や成分が不十分」という結果があがってきました。土は大昔から農業に活用されてきましたが、良い土の微生物環境の再現ができたのはつい最近、数年前のことなんです。

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ーーー 有機肥料を活用できるといいことってあるんでしょうか?

西田:私たちが開発したソイルは有機肥料の分解を高効率で行えるのですが、有機肥料を使うことで地球環境にもいい影響があるんです。
世界中の農業で広く使われている化学肥料は化石燃料から合成して作られるのですが、地球温暖化につながるCO2の増大や、化石燃料そのものが枯渇する心配があります。さらに、あまり知られていませんが化学肥料による土壌汚染という大きな課題もあるんです。
その一方で、魚や植物由来の有機肥料なら循環型の農業が実現できますし、土壌に炭を活用することで炭素の固定化(地球温暖化の抑制)にもつながります。

ーーー TOWINGさんの技術はガーデニングにも活用できそうですか?

西田:たとえば、開発したソイルを使って病気に強い苗を育てることができます。よく「ヨーグルトを食べると腸内環境が良くなる」と言われますが、それと似たような形で、病気になりにくい土壌の微生物環境を科学の力でつくり出すことができるんです。

ーーー 宇宙農業で得た技術が、地球でも役に立つんですね。

西田:当社のソイルは持続可能なシステムでたくさんの野菜を育てることができるので、未来の食料問題の解決にもつながる技術だと考えています。
また、栽培ユニットを使って名古屋市内にあるビル屋上で作物をつくるプロジェクトも進めているのですが、管理を地域の就労支援施設にお任せして1階のカフェで販売するなど、農業を活用したソーシャルグッドの取り組みも行っていく予定です。

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ーーー ビジネスの原点はおじいさまと弟さんにあると伺いました。

西田:滋賀県の信楽で生まれ育ったのですが、高校までは祖父が育てた新鮮野菜をあたりまえのように食べていました。しかし、大学で名古屋に来て、その環境があたりまえじゃなかったことに気づいたんです。農業は衰退していくと聞いていたので、次世代の農業モデルを設計して恩返しができたらと考えていました。
また、弟と私はマンガ『宇宙兄弟』が大好きで、「いつか宇宙の仕事をしよう!」と子どもの頃から約束していたんです。弟は槍投げで西日本学生チャンピオンになるほどのアスリートでスポーツメーカーへの就職も決まっていたのですが、私が農業ビジネスに誘うと快く賛同してくれました。アスリートの視点から食に注目していたようですし、材料工学を研究していたのでソイル開発の大きな力になってくれています。

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ーーー とてもいい関係ですね! 最後に御社のこれからの展望もお聞かせください。

西田:まずはさまざまなプロジェクトを通じてBtoB領域で私たちの技術や栽培ユニットを広げていき、その後はBtoCに向けてもソイルの販売を行なっていければと思っています。
また、現在の宇宙開発の最前線では、2040年までに月面で1000人が暮らせる世界を創ろうという計画が進んでいます。そこでは宇宙農業の取り組みが必須となるので、実現のための研究開発をどんどん進めていきたいですね!

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ーー ありがとうございました!


宇宙で育った野菜をいつか食べてみたい!

「宇宙で野菜は育つのか?」という素朴な疑問で西田さんに話を伺ったのですが、宇宙農業の技術が地球の農業はもちろん、環境課題のソリューションにもつながることに正直驚かされました。
TOWINGさんの技術が広がれば、農業の可能性がもっともっと広がります。新しい農業で東海地方を元気にしていきたいという意気込みも伝わりました。これからの展開もぜひ追いかけさせてもらいと感じた、とても印象的な取材でした。


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