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あなたがいるから世界はまわる。

働くって、いいかも。Vol.1

はじめまして。今回から「働」をテーマに連載を担当することになりました。松田広宣と申します。愛知県岡崎市を拠点にフリーのコピーライターとして活動しながら、地元の経営相談所の相談員としても働いています。

この「みたすくらす」のコンセプトは「東海エリアのクリエイターたちが、それぞれのライフワークを活かした記事を執筆」だそうですね。

たしかに、他のライターのみなさんは「農」や「創」、「花」などをテーマに素敵ライフワークを綴っていらっしゃいますね。

そんななか、私が担当することになったテーマは「働」。…ライフワークちゃうやん…ただのワークやん。それはさておき。なぜ、私が「働」をテーマに書くことになったのか。

それは、私が仕事柄、「働く人」に触れる機会が多いからです。

主に企業の採用支援を行うコピーライターとして。あるいは経営相談所の相談員として。さまざまな業種·職種の方のお話を年間で約500は伺っています。

当然、自分では経験したことのない職種も多く、プロの知識や技術にはいつも聞き入ってしまいます。なかには、その生きざまにとても勇気づけられたり、思わず涙してしまったりすることも。

そんな役得な経験を通じて、性別や年齢に関わらず多くの方が働くこの時代に、なにかしらヒントやエールとなる記事をお届けできたら。そんなふうに思っています。

よろしければ、ぜひお付き合いください。


それは、働く人の広告でもある。

アルバイト先を探すとき。就職先や転職先を探すとき。情報源のひとつとして求人広告を見ることってありますよね。コンビニに無料で置かれている薄い冊子を手に取ったり、今はスマホから検索したりして。

あの求人広告をつくるアルバイトから、私の社会人生活は始まりました。製造、飲食、介護、IT、美容、理容、教育、ゲーム…などなど、さまざまな業種の店舗や企業の代わりに、募集する職種の魅力が伝わるようにターゲットを設定し、言葉やデザインに落とし込んでいく仕事です。

小さいものなら、たった数センチ角の求人広告。正直、地味です。でも、人が働く企業を選ぶとき、転職で言えば人生の転機にもなりうる選択をする際に目にするものです。

それは求職者だけでなく、募集企業だってそう。文字通り社運を懸けた広告出稿だったりするわけです。

実際、そんな求人広告の制作を通じて多くの方の人生に触れ、また、自身が手がけた広告で次のステージへ進む人とも数多く出逢ってきました。

夢より家族を優先した人。
30歳からふたたび夢を追い始めた人。
下請けから元請けへ転職した人。
唯一の肉親が入居する施設に転職した人。
急に会社を継ぐことになった人。

なかには、外資系ブランドの社長というポジションを辞し、母のふるさとに貢献したいと裸一貫で地域活性の世界へ飛び込んだ人も。

たとえ、そんなにドラマチックでなくても。そこで働く人の姿は、まだ見ぬ誰かの背中を押し、人生を変え得る可能性を秘めている。それは、私にもあなたにも言えること。かつて身を置いていた業界で求人広告は、ときに「人生広告」とも呼ばれていました。


すごい人の普通は、普通の人のすごい。

人って、自分ではない誰かのことなら長所や短所はすぐに見つけられるのに、自分のことになると途端にわからなくなりますよね。自分で良いと思っていたことがそうでもなかったり、「そこ!?」と思うようなところを褒められたり。

それはどうやら、仕事や会社に置き換えてみてもそうみたいです。

私が相談員を務める愛知県岡崎市にある中小企業相談所·通称「オカビズ」には、年間およそ3,000件のご相談が寄せられます。その多くが売上アップに関するご相談です。

はじめに、一緒に強みを見つけるのがオカビズでの相談スタイル。

普段、どんなふうにお仕事をされているのか。お客様からは何を評価されているのか。なぜ、それが可能なのか。過去に変わったお仕事はなかったか。さながら“ヒーローインタビュー”のようにお話を伺っていきます。

すると、たいていチラシにもウェブサイトにも載っていない、すごい事実が浮かび上がってきます。

「実はあのホテルのチーフシェフをしていまして」
「100種類以上のオリジナル工具があってね」
「創業以来、薪であんこを焚いているんですよ」
「クワガタが好きすぎて卒論もそれで書いたからね」
「治具を金属ではなく木でつくると安くて安全なんです」

それを聞いてこちらが「それってすごくないですか!?」と言っても、はじめは「?」という感じ。ご本人たちにとってはあたりまえすぎて「わざわざ言うことじゃない」という感覚なんです。

ある著名な編集者の方が、「自分の経験なんて読んでくれる人がいるんだろうか」と悩む著者に対して、こんなことをおっしゃったそうです。

大丈夫です。すごい人の普通が、普通の人のすごいなんですから。

それはきっと、仕事においても言えること。どんな仕事にも、上には上がいます。でも、私やあなたのやっている仕事は、やっていない人からすれば、すごいことなんですよ。


あなたがいるから世界はまわる。

大げさでもなんでもなく。いろんな業種·職種の方のお話を伺っていると、思うんです。あ、この人がいるから世界はまわっているんだな、と。

例えば、いま着ているシャツ1枚をとってみてもそう。まず綿花を育てる人。それを糸や布にする機械をつくる人。それを操作する人。パターンを起こす人。裁断·縫製をする人。工場から店舗まで運ぶ人。販売をする人、、、とすべては書ききれませんが、関わる一人ひとりが役割をまっとうしてくれたからこそ、こうして享受することができているんですよね。

それはもう、身のまわりにあるものすべてにおいて言えることです。そんな視点で世の中を見渡すと、自分や町で見かけるあの人やこの人が、実はすごいんだと思えてきませんか。

働くとは、“はた”を“ラク”にすることだと言う人がいました。雇用関係や賃金の有無は関係ないのかもしれません。今そこで何らかの役割を担っているなら。まちがいありません。この世界は、あなたがいるからまわっています。



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