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三英傑も食べていた⁉︎ 愛知の伝統的なお雑煮をつくってみた 

伝統は今を生きる vol.27

新年あけましておめでとうございます。フォトグラファーのたかつです。
みなさまにとって素晴らしい一年になることを心よりお祈り申し上げます。

さて、新年といえば様々な伝統文化や行事がありますが、今回は「お雑煮」についてお話できればと思います。


そもそも お雑煮はいつからある? 


今ではお正月の定番となっている「お雑煮」の始まりは、平安時代だと言われています。年神様に供えた餅や里芋、にんじん、大根などを、その年の最初に井戸や川から汲んだ「若水」と新年最初の火で煮込み、元旦に食べたのが始まりとされています。語源は「煮雑ぜ(にまぜ)」で、色々な具材を煮合わせたことからきているそうです。

お雑煮の具材や味付けは地方によって異なりますが、ひとつだけ必ず入っているものが「お餅」です。現代に暮らす我々にはなかなか想像がつきませんが、江戸時代に入るまでは餅の原料となる米が高価なものであったため、庶民のお雑煮には、餅の代わりに里芋が入っているのが一般的でした。お雑煮はお祝いごとや特別な日に食べる「ハレの日」のものだったんですね。江戸時代に入ると一般庶民でも気軽に餅が手に入るようになり、今のお雑煮の形に近いものが定着していったということです。


愛知のお雑煮の特徴は?


さて、先述でお雑煮は地域によって様々な作り方があると書きました。もちろんこの東海地方にも「ならでは」のお雑煮があります。

愛知県、岐阜県、三重県でも違いがありますが、なかでも私が住んでいる愛知県のお雑煮は個性的です。おそらく「日本一シンプルなお雑煮である」と言えるのではないでしょうか。
愛知県の伝統的なお雑煮には、すまし汁、四角の煮餅、伝統野菜である餅菜(小松菜に近い在来野菜)が入っています。※一部の地域では味噌仕立てのお雑煮を食べるところもあります。
愛知県の食文化といえば「赤味噌」など、どちらかと言えば濃い目の味付けのものが有名ですが、お雑煮はなぜかすっきりシンプルなもの。これはなぜでしょうか?調べてみたところ、その理由には大きく3つの説があるようでした。

愛知のお雑煮がシンプルな説その①
尾張藩主の徳川宗春が豪華絢爛な食事を食べていたところ、将軍の徳川吉宗に叱られたことがきっかけという説。

愛知のお雑煮がシンプルな説その②
徳川家康から続く、質素倹約の武士文化が受け継がれたという説。

愛知のお雑煮がシンプルな説その③
焼いてない餅をいれるのは「白(城)を焼かない」、餅菜は「名(菜)を(もち)上げる」、味噌を使わないのは「みそをつける(失敗して面目を潰す)」意味を避けたという説。

いろいろな説がありどれが真実かは分かりませんが、個人的には③の説が好きですね。やはり織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という三英傑がいた名残なのでしょうか、全ての説が武士に関わっているのが面白いです。


伝統的な愛知のお雑煮をつくってみよう!


ここまでうんちくを語ってきましたが、そろそろお腹が空いてきましたので、実際に伝統的なお雑煮を作ってみようと思います。いつも寝正月で誰かにつくってもらっていたので、自分でつくってみるのは初挑戦です。

せっかくなので、愛知県に縁のある品々を使ってつくってみようと思います。

・餅菜は手に入らなかったので、愛知県産の小松菜で代用。

・出汁を取る際に使うのは、知多木綿コーヒーフィルター。

・調味料には角谷文治郎商店「三州三河みりん」、ミツカン「純米料理酒」
を選びました。

それでは… Let’s cook!

まずは一番出汁。ここは手を抜かずきちんと鰹節からとります。
沸騰したお湯に鰹節をたっぷりと。
何ともいい香りです。

そしてこれを知多木綿のコーヒーフィルターで濾します。

綺麗な黄金色の出汁が取れました。

次に調味料をあわせます。もち米のおいしさを伝統的な製法で引き出した「三州三河みりん」は、そのまま飲めるほど美味しいとっておきのみりんです。味見で一口いただいてみると、何とも香り高く、品の良い甘味が口にひろがりました。この三州三河みりんと純米料理酒、塩を先ほど取った出汁に入れ、一煮立ちさせます。

ここまで準備ができたら、いよいよ四角いお餅と、小さめに切った鶏肉を一煮立ちさせた出汁の中にいれ、お餅が柔らかくなるまで煮ます。ここでお餅を焼かずに入れるのも愛知流です。鶏肉を入れるのは「名(菜)を取(鳥)る」という縁起を担いでいるそうです。

お餅が柔らかくなったら小松菜を入れ、火が通ったら少量の醤油で味をととのえて器に盛り付けます。お好みで鰹節を添えて完成です。

昔ながらのシンプルなお雑煮の美しさ

非常にシンプルなお雑煮が完成しました。
海老や蒲鉾など華やかな色合いの具、椎茸や根菜類などは入っていません。

三英傑が生きていた時代に思いを馳せて、さっそくいただいてみましょう。

まずはだし汁を
「ズズズっ…」

!!!!!
「んまぁ!」

丁寧に自分でつくったということもありますが、あまりの美味しさに驚いてしまいました。シンプルながら何とも味わい深いです。

出汁をきちんと鰹節から取り、調味料にもこだわったのが功を奏したのでしょう。実家でいつも食べているお雑煮よりも美味しく感じました(笑)

「もしかしたら三英傑もこんなお雑煮を食べていたのかも?」そう思うと、今年はなにかと縁起のよい年になりそうです。

お正月は何かと食べ過ぎてしまいがちですが、是非ともご自宅でこのシンプルな愛知のお雑煮を試してみてください。


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