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「豊橋の人蔘湯で、銭湯文化にどっぷり浸かる」 
伝統は今を生きる vol.05 
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「豊橋の人蔘湯で、銭湯文化にどっぷり浸かる」 
伝統は今を生きる vol.05 

こんにちは。フォトグラファーの たかつです。

vol.4でもお話ししましたように、偶然にも同時期に重なってしまった自宅とスタジオの引越しも、ようやくひと段落しました。

しかしながら重い家具や機材を運び、スケジュール的にも無理をし過ぎたのかカラダの節々が悲鳴をあげている状態に…。そんな時にふと思い出したのが、豊橋市にある銭湯『人蔘湯(にんじんゆ)』さんのことでした。

人蔘湯は1950年頃に営業を開始。ながく地元で愛されていたのですが、設備の老朽化が理由で2020年9月に一度廃業していました。その後、京都に拠点を構える“銭湯継業”の専門集団「ゆとなみ社」が運営を引継ぎ、2021年4月にリニューアルオープン。最近サウナにハマっていた僕は銭湯にも興味が湧いている最中でしたので、これはカラダを休める良い機会だと今回の取材先を人蔘湯さんに決めました。

実は、僕の出身は豊川稲荷で有名な豊川市。そして中学時代から結婚まで多くの時間を過ごした豊橋は、地元と言っても過言ではありません。

高校時代には通学路の脇道に人蔘湯があって、友人や当時の彼女とよく通ったな…

そんな青春の1ページを思い出しながら、電車に揺られて豊橋に向かいました。

銭湯文化の歴史

人蔘湯につくまでに、せっかくなので「銭湯文化」についておさらいしておきましょう。
今ではあまり見かけなくなってしまった銭湯ですが、そもそも銭湯の始まりっていつ頃かご存知でしょうか?
調べたところ、平安時代には京都に銭湯の原型があった可能性が高いそうで、11~12世紀の文献には「湯銭(ゆせん)」という文字が登場していました。鎌倉時代には今の銭湯に近いものが確立されていたのではないかと言われています。

そして銭湯が日常的な施設として発展したのは江戸時代になってから。当初は2種類の銭湯があり、1つは蒸し風呂形式(今で言うサウナ)。2つ目は湯船に入る浴槽形式でした。当時は湯船に入る形式が好評だったため、蒸し風呂形式はほとんど無くなってしまったようです。

大きく発展した銭湯ですが、戦後に家庭風呂が普及した事と後継者不足により徐々に衰退。最盛期は2万軒以上あったものが、今では全国で4,000軒を割り込んでいます。


いざ、人蔘湯へ


豊橋駅から歩くこと約15分。
ついに人蔘湯に到着しました。

…な、懐かしい!

リニューアルにあたりヒビの補修と塗装はしたそうですが、
僕の中の当時のイメージとほぼ変わっていません。

改めて見てみると、なんとも可愛らしい外観です。

看板も渋くて素敵ですね!

実は今回の取材ですが、人蔘湯を経営する湊三次郎さん(ゆとなみ社代表)からも少しお話を聞かせていただけることになりました。

ちょっとドキドキしながら開店前に伺うと…とても銭湯経営をしているとは思えない、爽やかな青年が笑顔で僕を待ち構えていました。

ゆとなみ社代表 湊三次郎さん

湊さんは学生時代に全国の銭湯巡りをしていて、その頃から人蔘湯のことは知っていたそうです。もともと面識のあった女将さんから廃業することを聞き、何とかできないかと考えていたところ、ちょうど ゆとなみ社に豊橋出身のスタッフ(現在の人蔘湯店長)がいたことから継業を真剣に検討しはじめたというお話でした。そんな偶然から ひとつの銭湯が復活を遂げたという話を聞くと、湯船に入る前から人蔘湯のファンになってしまいそうです。

そしてリニューアルにあたっては、クラウドファンディングを初めて活用。最終的にはなんと600万円以上もの資金が集まったそうです。近年のサウナブームもあって、もしかしたら全国から支援が集まるのではと期待していたのが、蓋を開けてみたらほとんどが地元豊橋・豊川の方の支援だったことに驚いたのだとか。クラウドファンディングだけでなく現地の募金でも80万円が集まり、本当に地元から愛される銭湯であることを実感したと嬉しそうにおっしゃっていました。

また、湊さんは銭湯巡りをしていた際、同時に町から銭湯が無くなっていく様も見てきたと言います。「そのモチベーションはどこから来るのでしょう?」そんな質問に対して、「自分が好きな銭湯が惜しまれながら消えていくのがイヤだった。だからゆとなみ社の活動は ほとんど自分のためにやっているのかも」と、少し照れくさそうに答えてくれた湊さんが印象的でした。

…こんな人が経営する銭湯が、良くないはずがありません。

期待を胸に、さっそくお湯をいただきたいと思います!


銭湯へ行くときに必要な物は?

…とその前に、料金の支払いを先に済ませましょう。

番台式からリニューアルされたフロントロビーで、利用料を払います。大人440円/小学生150円。おサイフにやさしい料金です。男湯にはサウナ設備もありますので、サウナを利用する方は追加で200円払います。僕はもちろんサウナを利用するので、合計で640円支払いました。

スーパー銭湯と違い、基本的に街の銭湯には無料で使えるフェイスタオルやバスタオルはありません。自分も今日は小タオル&大タオルを持参しました。また、シャンプーリンス、ボディーソープ類も同様に無い場合が多いので、こちらも持参することをおすすめします。

万一タオルを忘れたとしても、幸いなことに人蔘湯さんではオリジナルデザインのフェイスタオル(500円)を購入することができますし、30円でタオルをレンタルすることもできます。またシャンプーリンス、ボディーソープは無料で使えるものが備え付けられていました。

可愛らしいイラストは豊橋のイラストレーターさんによるもの
オリジナルロゴも可愛い!!


ココロもカラダも温まる銭湯体験!

それでは…はやる気持ちを抑えて、脱衣所から浴室に向かいます。

浴室に足を一歩踏み込むと、なんと神聖な雰囲気…!

湯気、匂い、明るさ、室温、反響音や水の流れる音。これらがそうさせるのでしょうか。

例えるなら、母のお腹の中のような安心感があります。

浴室はコンパクトですが天井が高く、体感的にはとても広く感じます。また眼前の壁には「これぞ銭湯!」と言うべき情緒あふれるモザイクタイル絵が。このタイル絵は50年前からあったものをそのまま生かしているそうです。

「残すところは出来る限り残す」ゆとなみ社さんのこだわりがここからもうかがえます。

全身を隅々まで洗ったら、待望の湯船とついにファーストコンタクトです。

‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

熱い!

ふだんはスーパー銭湯を利用している僕は、想像より熱いお湯にびっくりし てしまいました(体感で43度ぐらい?)。後から聞いたところ、銭湯のお湯は比較的高めに設定されているんだとか…平常心を保ちゆっくりと湯船に体を沈めます。

「うっうへぇ~い

思わず奇妙な声が漏れてしまいました。

ピリピリとした刺激の後に、ココロとカラダに温かなお湯が沁みこむのがわかります。

目を瞑り、ゆっくりと深呼吸をし、しばしお湯を楽しみました。

その後はおまちかね、僕が大好きなサウナです。

リニューアルで新たに新設されたドライサウナは、6人で満席の小ぶりな室内。しかしながらしっかりと熱く、気持ちのいいサウナでした。


サウナでカラダが熱々になった後は、水風呂に浸かってクールダウン。

ライオンの口から冷た~い地下水が絶えず流れ出ています。

地下水の水風呂は少しとろみがあり、何とも言えない心地よさ。

もう、このままここでととのってしまいそうです…

他にもスチームサウナや変わり風呂などもあり、取材を忘れて銭湯を堪能してしまいました。



銭湯は “街の社交場”でもある。

お風呂上がりにはこれも懐かしい「アンバサ」がありましたのでそちらをいただきました。乾いた喉を優しく潤す、青春の味でした。


ふだん銭湯に行き慣れていないので実はちょっと緊張していましたが、そこには優しい店員さんや常連さんとも自然にコミュニケーションが生まれる、素晴らしい空気が流れていました。

取材の際、湊さんもこうおっしゃっていました。

「銭湯は庶民のモノ。だからハードはもちろん、ソフトとなる店の人からも生活のにおいがする場所であってほしい。街のゆるやか なコミュニティーとなれる場所であってほしい」

スーパー銭湯にはない伝統的な「銭湯」ならではの魅力。それは喫茶店や居酒屋と同じように“街の社交場”としての役割なのかもしれません。

そう考えると喫茶文化の盛んな東海地方にも、銭湯はもっともっとあっていいような気がしました。

湊さんにお礼を告げて人蔘湯を後にすると、外の空気が心地よく肌や鼻を刺激してくれました。
銭湯で火照った体を気持ちよく冷やしてくれて、溜まっていた疲れもスッキリ爽快です。

家のお風呂やスーパー銭湯も良いですが、その街の「人の温かさ」を感じるという意味で、銭湯は格別だと思います。

是非とも日常の気分転換に、あなたの街の銭湯を利用してみてはいかがでしょうか。

すっかりととのってしまった たかつ

■人蔘湯
住所: 愛知県豊橋市神明町47
営業時間:平日 14時00分~0時00分(水曜定休) 
営業日やイベント情報について詳しくはTwitterをご覧ください
twitter  https://mobile.twitter.com/ninjinyu2021
掲載している写真は、基本的にはご提供いただいたものです。
脱衣所および浴場は撮影禁止となっています。


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