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「蓮の花」の生命力と想いを込めて

花、暮らし、私 vol.18

7月もそろそろ半分が過ぎますね。
このくらいの季節になると、必ず思い出す風景があります。

田舎道を走っているとふと現れる、一面の蓮畑。
あたりは全て、大きな蓮の葉っぱだらけ。見渡す限りの鮮やかな緑の合間にすっと見える、ふわふわの白い花弁やぎゅっと締まった蕾たち。

実家の引越し先で、数年だけ暮らしたことのある愛西市。あまりご存知のない方も多いと思いますが、愛知県の最西部に位置し、全国でも有数な蓮根の生産地なのです。
蓮根の収穫は秋から春頃。7月のちょうど今頃になると、蓮の花が見頃になるので、時間を見つけてよく開花の様子を見に行っていました。

『蓮の花が咲くときに、“ポンッ”と音がなる』という逸話があります。古くは正岡子規の句にも書かれているのですが、実際にその音を聞いた人や科学的な実証などはされていないのだとか。いつかその音を聞いて見たい…と思いつつも、朝が苦手な私は未だ検証ができていないのです。

蓮の花が咲くのは早朝。日の出とともにゆっくりと開花していき、午前8~9時ごろに完全に開ききり、そしてその後はまた蕾に戻って行くのだそうです。蓮の花を観に行くなら、午前中が良さそうですね!

森川花はす田
https://www.aisaikankou.jp/wgs/blog/fp/26/

すぐ近くの道の駅「立田ふれあいの里」では、レンコンソフトクリームやレンコンパンなど、レンコンを使ったメニューがたくさんあり、蓮の花や蓮台(花が終わって残る、実が付いているところ)も売っているのを見たことがあります。

毎年お盆の時期に、食用のレンコンの花とは別で、観賞用の花ハスというのもたまに花市場に出回るのですが、これは本当に希少です。そして、花ハスは他のお花のように水に浸けておいても自力では咲いてくれません。特殊な水揚げ方法で手をかけないといけないのでなかなかお花屋さんで見ることはないし、売っていても蕾の状態が多いと思います。でも、この、蕾の状態も本当に素敵なんです。可憐で儚い、神聖、という言葉がとても似合う蓮。ぜひ畑で咲いている姿をみなさんにも見てもらいたいです!

さて、今日はこの蓮の花にまつわる活動をされている素敵な女性をご紹介します。

みなさん、蓮の花を近くでご覧になったことはありますか?開いては閉じ、開いては閉じ…を繰り返したのち、4日ほどで一気に散る蓮の花。地下根を増やして準備して、一年に一回、たった4日間だけ咲く花。一枚一枚、とても繊細で美しい花びら。

この貴重で美しい蓮の花の美しさを、より多くの人に届けている[ HALotus ]は、本物の蓮の花びらを閉じ込めたアクセサリーをメインにつくられています。

一枚一枚、花びらの形や個性に合わせて制作するアクセサリーは一つとして同じものがなく、蓮の持つ美しさやエネルギーまで宿っているかのよう。

このアクセサリーの販売などを通じて蓮の未来を繋ぐHALotusを運営されている鶴房さんにお話を伺いました。


HALotus 代表 鶴房桂花さん


始まりは蓮の葉から


――とても美しい蓮のアクセサリーを作られていますが、なぜ蓮なのでしょうか?蓮との出会いを教えてください。

鶴房:はじめは、自宅の玄関に飾る絵を探していたことがきっかけでした。探せど探せどなかなか気にいるものが見つからず、困っていた時にたどり着いたのが、本物の蓮の葉に色を乗せて生み出すアート「ボタニーペインティング」でした。講座に通って技術を身につけ、自分で産み出すアートがとてもしっくりきて、今では講師の資格も取って教える側になりました。

このボタニーペインティングをする中で湧き出てきた思いがあります。

私が住んでいる滋賀県草津市には、日本各地から人が来るくらいの広く大きな蓮の群生地がありました。初めてその畑を訪れた際、蓮の花の大きさに驚き、とても美しかったのを覚えています。本当に広大な畑だったのですが、それが2015年に突如、全て消滅してしまったのです。原因は未だ特定されておらず、再建不可という研究結果も出ています。

ショックな出来事でしたが、自分が蓮に関連するアートをしている事もあり、自分の中で、この地域で何ができるのだろう?と考え始めました。SNSでボタニーペインティングの活動を発信したところ、長浜で農業放作地を蓮畑に生まれ変わらせ、地域活性をされているNPO法人の方からご連絡をいただきました。この出会いが、今のアクセサリー作りにつながります。

『私たちのハスの花を使ってアートができませんか?』

長浜のNPO法人からいただいたこの一言から、私の中で何かが繋がりました。同じ地域の中でのこのご縁をしっかりつなげていきたい。と思い、蓮を使った商品開発を進めました。

様々な過程を経て、蓮の葉ではなく花をドライフラワーにしてみることにしました。普通の花より水分量が多い蓮の花は、ドライフラワーにするにも専門的な技術が必要です。このドライフラワーをつくりながらも、もっと、自分だからこそできることはないか?と突き詰めて出来上がったのが蓮花のアクセサリーです。


蓮の花びらを纏う。ネイリストの技術から生まれたアクセサリー


唯一無二のアクセサリーブランドHALotusが生まれたのは、長年続けていたネイルの技術や経験があったから。ジェルネイルで樹脂を扱ってきたので、この樹脂で何かできないかと試行錯誤して生まれました。

アクセサリーのブランドラインナップには、細かく砕いた蓮の花びらを閉じ込めたラインと、一枚の花びらそのままのラインがあります。同じ蓮の花の花びらでも、それぞれに個性があります。その個性をしっかり見出し、花びらを一枚一枚丁寧に加工していきます。

制作したアクセサリーは、地元エリアの百貨店やオンラインで販売をしています。また、草津の水生植物園でも販売してもらい、“草津に貢献したい“という思いも少しずつ形になってきているように感じていますね。

神聖な蓮花は「泥から出でて泥に染まらず」

――蓮花アクセサリーを購入することが、蓮の畑の活性化にもつながると聞きました。

鶴房:アクセサリーに使用している蓮の花は、先ほどお話しした長浜のNPOが育てられているものを使っています。蓮の花を使って地域起こしをしたいという団体は他にもあり、こういった地域活性をされている方のところで種を植えたりと、アクセサリー作り以外の活動もしています。

アクセサリーをご購入いただくことで、NPOも潤い、地域も潤い、そして蓮の花について知ってもらうきっかけを作ることができます。

仏教用語で蓮の花に関連するものとして『泥から出でて泥に染まらず』という言葉があります。蓮の花は綺麗な水だけでは育たず、土でも育たず、泥の中で育つわけですが、花にはこの泥がつかず美しい花を咲かせます。この泥が仏教用語では“煩悩“。煩悩の中で自分自身の行いを信じて正しい行いをすれば、美しい自分だけの大輪を咲かせることができ、その花は煩悩に染まることもない。

そんな神聖な蓮の花を、花びら一枚でも無駄にしたくない。大量に採って大量に捨てるのではなく、大切にしたいと思いながら製作をしています。


時を超えて、花への思い

蓮は生命力が高いことで知られています。
2千年前の地層の中から出てきた蓮の種から花が咲くほどの生命力。一つの花の泥の中では8mも根が伸びると言われます。
その生命力や、先に話した仏教用語の由来なんかもあって、『蓮』の字がつく名前は長年続けて人気の名前となっています。

私の名前は鶴房桂花と言い、「桂花」は中国語で金木犀のことです。だからか、昔から金木犀の香りを嗅ぐと、特別な、誇らしいような気持ちになるんです。

私が金木犀に対してそう思う、ということは、全国の「蓮」という字がついた方も、きっと蓮に対して同じような気持ちになるんじゃないかな。そして、その名前をつけたご両親やご家族にとっても特別な存在なのではないかと思うのです。

そういった方々に蓮の花を届けたいという思いがあり、「私の作品」を届けたいのではなく、「蓮の花」を届けたい、という思いで活動をしています。

私のつくるアクセサリーを通じて、蓮の花の魅力や本物の花が持つパワーをお届けできたらと思っています。

――蓮にまつわる知らない世界を覗くことができました。ありがとうございました!

素敵なお話を聞いて、心がいっぱいになったこの取材。蓮の花の魅力もたっぷり伝わってきましたが、鶴房さん自身の持つエネルギーもしっかりと伝わってきました。
蓮の花を通じて地域との縁をつなぎ、蓮の魅力をたくさんの方へ伝えていく姿は蓮の生命力をも思わせます。彼女が初めに見た広大な蓮畑が、いつの日か復活することを願っています。

鶴房さんはワークショップをされたり、蓮を種から育てて見たり、様々な活動をされています。Instagramもぜひチェックして見てください!

\ 記事でご紹介した商品はこちら /

HALotus 鶴房桂花
HP     https://www.halotus.jp/
instagram  https://www.instagram.com/halotus_official/

HALotus 鶴房桂花HP     https://www.halotus.jp/instagram  https://www.instagram.com/halotus_official/


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