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和蝋燭のやさしい光を防災に
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和蝋燭のやさしい光を防災に

伝統は今を生きる vol.10

こんにちは。フォトグラファーのたかつです。

僕が連載させていただいている『伝統は今を生きる』も、記念すべき10回目を迎えることができました。これも日頃から応援してくださる皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。

さて、今回は「防災」についての記事を書いていこうと思います。

3月と言えば、忘れてはいけないのが「東日本大震災」。
2011年3月11日に東北地方で大地震が発生。12都道府県で18,425人もの死者・行方不明者が出てしまった未曾有の大震災です。

僕はこの頃、前職の関連で東南アジアのマレーシアに赴任している最中でした。
地震発生当初はほとんど情報が入ってこなかったため特段気にしていなかったのですが、現地マレーシアのスタッフが「日本が何だか大変みたいだけど、この映像は何を伝えているの?」と、僕にある動画を見せてくれました。

その動画は、津波が町を飲み込む動画でした。

現地のスタッフも最初は大雨か台風で水が溢れている程度だと思っていたらしいですが、僕はその時、動画を異国の地でただ呆然と見ることしかできませんでした。


和蝋燭との出会い


僕がフォトグラファーを生業にしようと決意したきっかけが、この震災でした。

こんな風に言うと怒られてしまうかもしれませんが、海外に居ながら母国の非常事態を目の当たりにした僕は、その時に初めて日本という国を客観的に見ることができたように思います。そこで感じた「外から見た日本」は、僕のクリエイティブワークに大きな影響を与えています。

日本に帰国して数年後、フォトグラファーとして独立した僕は「日本の伝統文化を撮影する」ことをライフワークにし始めました。
そんな頃に出会ったのが、今回ご紹介する「磯部ろうそく店」さん。
愛知県岡崎市で300有余年の歴史を持つ、由緒正しい和ろうそく店です。

和蝋燭は、天然の「ハゼの実」から絞った油と「和紙の芯」で作られる日本特有の蝋燭で、洋ろうそくと違い煤(すす)が少なく、リラックス効果のある独特な火の揺らぎが特徴です。洋ロウソクの原料は石油由来のパラフィンなので、その点でも和蝋燭は非常にエコであると言えます。

磯部ろうそく店さんとは何度かお仕事で撮影をさせていただき、そのたびに和蝋燭から発せられる燃える音や、火の揺らぎに魅了されていました。


防災グッズに和蝋燭を


今回、東日本大震災発生の日に合わせた記事を制作するにあたって、「防災グッズとして和蝋燭を活用する」という企画を思いつきました。

和蝋燭は

  1. ライターやマッチがあれば点火できる

  2. 和蝋燭の灯りにはリラックス効果がある

  3. 軽量でコンパクト

  4. 長期保管ができる(冷暗所で4〜5年)

と、防災グッズに相応しい特徴を持ち合わせています。

そんな訳で和蝋燭を買いに、久しぶりに磯部ろうそく店さんを訪れました。
看板や暖簾には、和蝋燭のイラストが可愛らしくデザインされています。
伝統的な和蝋燭を扱っていながら、外観はとてもモダンな建物です。

店内に入ると、早速お目当ての和蝋燭がたくさんありました。
何度か訪れているお店なのですが、本当に蝋燭がたくさんありすぎて目移りしてしまいます。

せっかくのいい機会なので、改めて和蝋燭のことやその取扱方法について女将さんにお話を伺いました。

―――防災用に和蝋燭を買おうと考えているのですが、そもそもそういう使い方ってありでしょうか?またその場合、大きさはどれくらいのものがいいですか?

女将:和蝋燭は防災グッズにもぴったりだと思いますよ。和蝋燭は洋ロウソクよりも芯が大きいので、明るさが強いのが特徴です。大きさが10匁(約37.5g)の蝋燭で、8〜10畳の部屋を明るく照らすことが可能です。家族4人が過ごすのであれば、5匁ぐらいのものでも充分な明るさを得られると思いますよ。実際、東日本大震災発生後に当店も岩手までボランティアで和蝋燭を持っていきました。その時はとても喜ばれたことは、今でもよく覚えています。


―――なるほど、やっぱり和蝋燭は防災グッズにぴったりなんですね!ちなみに和蝋燭はどのようにして立てるのが一番良いのでしょう?

女将:燭台(しょくだい)というものがあります。蝋燭が大きくなるほど燭台も大きく重さのあるものでないと安定しないので注意してください。

燭台

―――他にも和蝋燭を扱う上で必要な道具はありますか?

女将:火消しと芯切りばさみです。
和蝋燭は息で火を吹き消すと、溶けたロウが周囲に飛び散る恐れがあります。火消しを使うことで安心して消すことができます。
芯切りばさみ、点火した和蝋燭は時間の経過とともに炭化した燃え残り芯が長くなり、炎が大きくなります。このため芯を切ることで炎の大きさを調整すると、形が整い明るくなります。和蝋燭は炎の面倒を見てあげることで明るく輝くんです。少しだけ手間かもしれませんが、そこがいいところ。綺麗に燃えると最後にパチパチパチと鳴って、まるでお別れの挨拶をしてくれているみたいなんですよ。

火消し
芯切りばさみ


和蝋燭はこんな灯り


女将さんにお話を伺ったのち、5匁サイズの和蝋燭と燭台を購入。スタジオに帰ってから早速取り出し、ディスプレイしてみました。
洋テイストなスタジオにあっても意外と違和感ありません。
暗くなるのを待って点火してみたいと思います。


日もすっかり暮れましたので、いよいよ和蝋燭を使ってみます。
東日本大震災で犠牲になった方々の鎮魂も想いも込めて ―――点火。

ジジジジ という音が鳴ったあと、

ポッっと炎が灯りました。

点火してすぐは、まだ安定しないのか少し炎が暴れます。しかし、暫くすれば落ち着き、やがて大きな明るい炎が周囲を照らすようになります。

どうですか?

なかなか良い雰囲気が伝わるのではないでしょうか?

写真だと分かりづらいかもしれませんが、暗いスタジオで灯してみると想像以上に明るいです。

おしゃれな雰囲気もありますね。
この灯りを肴にウイスキーなんかを傾けてもいい感じかもしれません。

本当に、明るくてあたたかな炎です。

磯部ろうそく店の女将さんに「和蝋燭の灯りで写真を撮ると面白い」ことを聞いていたので、ついでに自撮り写真もパシャリ。

…なかなかに面白い写真が撮れてしまいました。

和蝋燭の炎のゆらぎは「1/fゆらぎ」と言われており、不思議なリラックス効果があるそうです。

たしかに、この揺れと音は何とも心地良い。

ただでさえストレスが多い震災時に、このような優しい灯があれば、不安な家族が少しでも笑顔になれるような気がします。

非日常をあたたかく包む防災グッズとして、和蝋燭、とてもおすすめです。


■磯部ろうそく店

愛知県岡崎市八幡町1丁目27
https://www.isobe-r.jp/


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