見出し画像

「美濃和紙フィルターで丁寧に淹れた珈琲を愉しむ」 
伝統は今を生きる vol.04

こんにちは。フォトグラファーの たかつです。
いきなり私事で恐縮ですが、つい最近、自宅とスタジオの引越しが同時期に重なってしまい心身ともに疲れ果てておりました。

「嗚呼…丁寧に淹れたコーヒーを飲んでゆっくり安らぐ時間が欲しい…」

普段はもっぱらインスタントコーヒーを愛飲している僕ですが、タフな引っ越しを終えた今、ペーパーフィルターを使ってコーヒーを淹れることにしました。
それもせっかくならいいフィルターでとネット検索をしていたら、偶然にも美濃和紙でつくられたコーヒーフィルターを発見。ピンときました。これは記事のネタにもなるぞと(笑)。高価な美濃和紙ということでドキドキしてしまいますが、値段はあまり見ずにポチッと購入してしまいました。

画像20


コーヒーの淹れ方と歴史

今では当たり前のペーパードリップ方式は、1908年にドイツのメリタ・ベンツという女性のアイデアから生まれました。
それまでは、家庭でのコーヒー抽出は布や金網によるもので、手間がかかる上に不衛生であったり、粉がカップに入ってしまったりと、手軽においしいコーヒーを淹れる事が難しかったのだそうです。
そこでメリタ・ベンツ女史は、真鍮製の容器(後のフィルター)に小さな穴をいくつか開け、その上に1枚の「ろ紙」とコーヒーの粉をセット。お湯を注いでコーヒーを淹れる方法を考案しました。この方法であれば、コーヒーの粉がカップに入ることもなく、ゴミ捨ても簡単。しかも余計な雑味をろ紙が吸うので味も美味しく一石二鳥でした。「もっと手軽に美味しいコーヒーを淹れて、最愛の夫に飲ませてあげたい」メリタさんのそんな愛情から生まれたのが、世界初のペーパードリップシステムだったのです。

パートナーを愛する気持ちが、今や世界中で愛される抽出方法になるとは…しみじみいい話ですね。


美濃和紙フィルターってどこで買うの?


ウンチクはこれくらいにして、さっそく購入した美濃和紙フィルターでコーヒーを淹れてみましょう!
美濃和紙フィルターは岐阜県美濃市にある手漉き和紙工房「Corsoyard(コルソヤード)」さんのオンラインショップで購入しました。こちらは岐阜県内に数店ある取り扱い店舗でも購入できるそうです。

画像2

これが届いた『手漉き和紙のコーヒーフィルター「立花」スターターパック(スタータパック:SP3(完成品3枚+折り用紙3枚):2,900円(税抜・送料抜)』です。

6枚で2,900円!?
と驚かれたかもしれませんが、一枚一枚手漉きで作る美濃和紙はそうそう安いものではありません。落ち着きましょう。

画像3

何と和紙に包まれた状態で届きました。
細かな心遣いにコーヒーを淹れる前からワクワクしてきます。

画像4
画像5

内容物としては、コーヒーフィルター立花と、豆の挽き方と淹れ方が書かれた説明書、リーフレットに直筆のお手紙が同封されておりました。

しかしながらこのお値段…丁寧に淹れなければフィルターに失礼です。背筋が伸びる思いですが、同時に期待も高まります…!


自宅でコーヒーを淹れる際に必要な物は?


そしておさらいですが、コーヒーを淹れるには最低でも以下のものが必要です。

画像13

・コーヒー豆
当たり前ですが、これがないと何も始まりません。焙煎後間もないコーヒー豆を選ばれるのをおすすめします。もちろん、予め挽かれた豆を購入しても問題ありません。

画像7

・コーヒーミル
コーヒー豆を自宅で挽く場合は必ず必要になります。手動式と電動式があり、初心者なら低価格でも購入できる手動式のミルがおすすめです。また、専用のコーヒーミルが無い場合、調理用のミルミキサーで代用する方法もあるようです。

画像8

・ドリッパー
これがないとドリップフィルターをセットできないので、コーヒーを淹れる事ができません。プラスチック製、陶器製、アルミ製など種類は様々ありますが、お好みの物で大丈夫です。価格は安くて200円台のものもあれば、高いものだと数万円のドリッパーもあります。ちなみに僕が使ったのはHARIO(ハリオ)から発売されているメタルドリッパーです。


緊張のドリップタイム!


さっそく豆を挽いていきます。

画像6
画像9

今回僕は手動式のコーヒーミルを使いました。選んだ豆は成城石井で購入した「マイルドブレンド(200g/590円)」。今回は自分へのご褒美なので、いつもよりちょっとだけ贅沢をしました。

袋を開けると、コーヒー豆の何とも香ばしい匂いが鼻をくすぐります。
軽量したらコーヒーミルに豆を入れ、心を落ち着かせてハンドルを回します…

かりっ!

かりっ!

かりっ!

…なんとも心地よい音です。

画像10
画像16
画像11
画像15

粗めに挽いた後、いよいよ美濃和紙フィルター「立花」に豆を入れていきます。
90度にあたためたお湯を「の」の字を描くように少しだけ入れます。

画像12

お湯を入れると、豆が膨らんできました。
この状態で15秒〜30秒蒸らします。

画像14
画像17

豆の膨らみが落ち着いたら、さらに注ぎます。
そしてこれを繰り返していくのですが、美濃和紙は繊細で破れやすいので、非常に手に汗にぎる作業となりました(説明書にも細心の注意を払うよう注意書き有)。

「破れたら500円が、パァ…」 

指先に全集中の呼吸でお湯を注ぎます。

美濃和紙フィルターでなくとも、お湯を一気に注いでしまうとペーパー破れの原因になってしまいます。ペーパードリップは焦らずゆっくりが基本なのです。

お好みの量のコーヒーが抽出されたら、滴下が終わる前にドリッパーを外して完成です!


美濃和紙コーヒーフィルター「立花」で淹れたコーヒーの味は?

画像21

比べてはいけませんが、インスタントコーヒーと比べると香りが本当に素晴らしいです!また、表面にうっすらと油分が残っているのがわかります。これはきめ細かな美濃和紙コーヒーフィルターだから抽出できる旨味成分とのことです。

画像18


それでは、背筋を正して…さっそく一口

うっ うっ うまいっ…!!!

飲んだ瞬間に違いが分かります。
コーヒーというのは、こんなにも味わい深く、香り高いものなのだと気づかされました。何より、神経を研ぎ澄ましてコーヒーと向き合った緊張感と開放感。これが美味さを倍増させているような気がしました。

画像19


今回ご紹介した美濃和紙コーヒーフィルターは決して気楽に購入できる価格ではありませんが、コーヒーと真剣に向き合う豊かな時間を提供してくれる商品だと思います。何かと疲れることの多い現代社会にひとときの安らぎを与えてくれるイイモノです。自分へのご褒美にはもちろん、大切な人へのおもてなしやプレゼントにもおすすめします。

■手漉き和紙工房 Corsoyard(コルソヤード)
https://corsoyard.com/


画像19


この記事が参加している募集

私のコーヒー時間

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!