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クリエーターインタビュー:森のくじらの物語
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クリエーターインタビュー:森のくじらの物語

物語をさがして vol.06

クリエーターがふだん何を考えているか、気になったことはありませんか?

今回は岐阜県在住のイラストレーター『森のくじら』さんにオンラインでインタビューを行い、制作の秘訣や活動などについてお話をお伺いしました。

森のくじらさんのイラストや造形が創る世界では、ゆらゆらゆれる線画や、おかしみのある表情の住人たちがこちらに語り掛けてきて、いつでも物語に引き込まれそうになってしまいます。

彼は私と同じ年なのですが、イラストの仕事を始められたのは数年先輩。同じ東海エリアなこともあり、展示やSNSを通じて以前から交流がありました。その愉快な制作を見るにつけ、知り合いであることが誇らしく尊敬してやまない作家さんです。

イラストレーター 森のくじら さんのプロフィール

岐阜県在住のイラストレーター。児童書や絵本など『こどもの本』を中心に、わくわく・かわいい・へんてこなアソビゴコロのある世界をつくっています。
あとは、大人向けにこころを描いたり、へんてこ不思議で物語性のある線画や、一般書籍向けのイラストも描いていますよ。


見出し【森のくじらとは?? 】


――さっそくですが、ペンネームの由来を教えてください。

森のくじら(以下、くじら):これはよく聞かれる質問ですね。僕が大学生の頃にさかのぼるんですが、当時特にやりたいこともない、からっぽの日々の中で、大学の図書館で手に取った1冊の本がありまして、それが、薄井ゆうじさんの小説『くじらの降る森』だったんです。

薄井ゆうじ『くじらの降る森』講談社文庫


くじら:本の内容は・・・以前はアート作品を作っていたけれども今はごく普通にサラリーマンとして働いている主人公が、ある青年に出会って以前のような創りたい気持ちが膨らんでいくというストーリー。青年がどんどん有名になっていく中での自分自身との葛藤など、本題はいろいろあるのですが、その中で、くじらが静かな森の中にふんわりと霧のような感じでイメージとして現れるんです。
物語全体の幻想的な雰囲気であったりとか、マザーグースの「森で泳ぐニシンの数を数える歌」になぞらえて「森で泳ぐくじらを探す」みたいなセリフも印象的で・・・無意味に思えるものを探し続けることや、物を創ることの面白さ、そんなもろもろがその時の自分に響くものがあって、この一冊をきっかけに「絵でも描こうかなあ」と思ったんです。

――― たった一冊の世界観が、絵を描くきっかけになった。そしてそれがペンネームになったんですね。

くじら:はい。実はそれまで絵は特に描いていなくて、高校の頃にノートの端っこにラクガキをする程度でしたが、この一冊をきっかけにスケッチブックを買って絵を描き始めました。それが僕のイラストレーターとしての原点なんです。

その後、数年を経てクリエーターズマーケットに出展した際に、はじめて『森のくじら』という屋号を使いました。のちにイラストレーターとして仕事を始めるときにも原点を忘れずいこうと『森のくじら』にしました。

―――『くじらの降る森』また是非読んでみたいと思います。ちなみにマーケットに出品されていたのはポストカードでしたか?

くじら:そうですね。ポストカードとか、シナベニヤをはがきサイズに切って電気ペンでウッドバーニングをする。内容は今の「ラクガキモノ」のような、文章と絵がメインでした。

オリジナル作品「ラクガキモノ」より

―――私がくじらさんの作品を初めて見たのは、確か名古屋の百貨店で開催された あとりえHBの『場』の展示会だったと思います。

くじら:『場』をご存じでしたか。あとりえHBさんも今の僕の原点のひとつですね。そのころは手作り作家の人たちと『アートビレッジ』や犬山の『おもしろそうだがや』『クリエーターズマーケット』にも参加していましたね。


どうやってイラストレーターになったか

―――そういった活動を経てイラストレーターになるまでに、どんないきさつがありましたか?

くじら:当時はちゃんとネクタイをしているサラリーマンでした。ただ仕事をしていると部下もでき、中間管理職のようになってくるじゃないですか。そうすると自分が手を動かすより人を動かすようになってきていて、現場が好きだった自分は漠然と「30歳になったら独立したいなあ」と考えてました。「何で独立」というのははっきり決めていなかったんですけどね。

ちなみに当時から、絵を発表するホームページは持っていました。その頃のスケッチブックには子供の絵をよく描いていてホームページに上げていたんです。かわいいものを描きたい、描いたのだからせっかくなら誰かに見てもらいたいという気持ちでした。

―――イラストの仕事の依頼がそこからあったのでしょうか?

くじら:ホームページを見た編集プロダクションさんから仕事の依頼を受けて、そこで初めて「イラストレーター」の仕事をしました。そういう仕事があるんだということと、インターネットがあると遠くからでも仕事がもらえるんだということをそこで初めて知ったんです。
そしてちょうどその頃、社長から話があると喫茶店に呼び出されたんです。内容は大きな昇進話で・・・

―――なんと!!まさに人生の転機ですね。

くじら:これはやばいと(笑)。ここで言っておかないと申し訳ないなと思って、こんなことを考えてます、と話したんです。社長はぽかんとしてましたね・・・。そんなきっかけでコネも仕事もなく、会社を辞めてイラストレーターとして独立をしました。


イラストレーターとして仕事を続けていくための秘訣は?

―――私もそうですが、イラストレーターはネット経由でお仕事が来ることが多いですよね。地方も都会も関係なくなって来てはいますが、やっぱり発注元は東京が多いような気がしています。くじらさんは地方に居ながらコンスタントに制作を続けていく秘訣のようなものはありますか?

くじら:これは、困りますよね。正直、秘訣というか秘策みたいなのはないですよね。

―――ないですよね!!そう言われると思いました!!

くじら:シンプルに言うならば、描いて見せる、描いて見せる、描いて見せる、それをつづけてきただけなんですよ。

―――以前開催された企画展「たまごと赤いずきん」もWEBを通じて拝見しましたがすごかったです。DMも素敵で引き込まれました。こういう発表の場をきちんと持つのが大事なんですね。

森のくじら / ちこ* / ゆまあひmaki
イラストレーターと切り絵イラスト作家による
たまご」と「赤いずきん」をテーマにした企画展。2016年


くじら:はじめは誘われて参加したんですが、自分が関わるのならということで、演出や全体の空間づくりをさせてもらいました。そもそも僕は絵描きというより広い意味でのモノづくり、世界観を作りたいんですね。

―――企画力があって世界観を作れるのはイラストレーターとして強いですね。ただ言われたことをやっているだけではただの雑用係になってしまいますので。

くじら:どういったお仕事でもいただいたときに、これならばこうしたらもっと面白いかも、とか話をするようにしてますね。

―――ああ、なるほど。私は、思っても言いにくい時とか、嫌がられそうとか考えてしまってアイデアを引っ込めることが多々あります。

くじら:実際はイラストレーターにそんな権限が与えられないことがほとんどじゃないですか。だから言われた通りに描くことも多いですよ。それはそれで職人仕事としてベストを尽くしますが、気持ちとしてはどんなお仕事でも画風をどうするか含め、少しでもその本が面白くなるための考えや想いを提案して力を尽くせればとは思っています。そういうアイデア出しなどはさっきの秘訣といえるかもしれませんが、こうするといい!というよりも、それぞれが自分にあったやり方をするのが一番だとは思っています。


そもそも僕自身は絵描きじゃないと考えているので、絵で勝負するというよりはアイデアや妄想(笑)勝負。いかにその「仕事」をふくらませて面白くできるかということをひたすら考えているので、それははじめた時からずっと大事にしてきていますね。

―――くじらさんと一緒にする仕事は編集者さんも楽しいでしょうね。

くじら:最終的にこんなに楽しいものができたねとみんなで共感できる着地点でありスタートラインをずっと考えています。その先の読者さんに楽しんでいただけるのが一番ですから。

―――素晴らしいと思います!そして様々な活動でお忙しい中で「ラクガキモノ」や「そのへんのおじさん」のようなオリジナル作品も制作されていますよね。

くじら:「そのへんのおじさん」は4コマ漫画ですが以外と描くのに時間がかかってしまっていて・・・ちょっと今はお休みしちゃってますが楽しく描いてますね(笑)

―――おじさんなのにかわいいし結論をはっきり出さないのもいいです。

オリジナル「そのへんのおじさん」より

くじら:こうなんだよ!、というよりかは何か考える材料をお渡しして、どう考えるのかは受け取った人次第、というのが好きですね。

―――黒か白か!のほうが分かりやすいですが、実際にはその間のもやもやしたところが多いですもんね。

くじら:気持ちでも、うれしいだったり嫉妬だったり、ひとつのできごとでもいろんな感情が絡んでいたりするじゃないですか。なので、あまり単純に「こうなんだ」とは描きたくないなあとは思いますね。

―――そういう制作への姿勢や作風が次の楽しいお仕事を呼んでくるのでしょうね。


のんびりゆるりのこと


―――Twitterの企画「のんびりゆるり」についてお聞きします。

『のんびりゆるり』とは(略して『のんゆる』)みんながゆるくつながるきっかけの場です。やることは「きっかけ」という名の基本少人数のオンラインのグループトークです。

のんびりゆるりのサイトより抜粋

―――くじらさんが面白そうなことを始めたな!と思って何回かご一緒させていただきました。「つくる人のきっかけの場」を作ったきっかけは何ですか?

くじら:コロナ禍ということもありますね。僕自身で言えば仕事始めたばかりの頃にmixiで大阪のイベント「PEACE SUMMER」に誘ってもらって、そこで知り合いができて今の基盤ができたというのがあります。その後展示や仕事で知り合いも増えましたけど、最初のきっかけというのはなかなかないかなあと思いまして。

最近はSNS経由で繋がっても実際に会っていないとコメントをしてもそんなに距離は縮まらないなあと感じていたりして、でも、いろんなオンラインのイベントがある中で、「仕事のために人と繋がる」だけというのもどうかなあと・・・純粋に人と知り合うことで生まれることはあると思っているので。

なのでゆるめな、とりあえず会いましょうのようなトーンの低いところから、その後どうするかは、参加する人次第というような、自分はお見合いのおばちゃん的な立場で場を作ろうというイメージを持っていました。

―――お見合いのおばちゃん!!!私も、のんゆるの仲間に入れてもらった後は、交流の出来た方のツイートはやっぱり楽しくて、いいね、ひとつにも嬉しいというか心がこもるというか。よかったなと思います。それにイラストレーターを始めたばかりでもものすごく力がある方がいたりして、情熱に満ち溢れていてこちらが勉強になりますね。

くじら:そこもありますね。創作の仕事は十何年もやっているとある意味枯れてくるというかね、今あることを淡々とやっていくということになってしまうので、そういう新鮮なエネルギーをもらえるのもありがたいですね。

―――本当にそうですね!森のくじらさん、ありがとうございました。

ご興味のある方は、Twitterでのんびりゆるりをフォローしてイベントをチェックしてみてください。イラストが好きな方ならどなたでも大歓迎です。のんびりゆるりとご一緒しませんか?


次回予告「イラスタポロン」

そして次回の記事では、こんな繋がりがきっかけになって生まれようとしているオンライン展示「イラスタポロン」についてお伝えしたいと思います。お楽しみに!

くじらさんのオリジナルグッズデザインより


森のくじらWEBのURL
https://www.morinokujira.com/
創る人のきっかけの場『のんびりゆるり』Twitter
https://twitter.com/nonbiriyururine
森のくじらSUZURIショップ
https://suzuri.jp/morinokujira



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