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“いなりの日”に豊川稲荷へ行ってみた

伝統は今を生きる vol.28

こんにちは。フォトグラファーのたかつです。

暦の上では春です。まだまだ明け方や夜は冷えますが、日中は気温も少しずつ暖かくなってきました。スーパーには春野菜も並び出しましたね。
暖かくなってくると、出かけたくなるのが人というもの。今回は初詣にはちょっと遅いですが「いなりの日」に、愛知県豊川市にある「豊川稲荷」へ行ってきました。実は僕の曽祖父母が豊川稲荷の門前で金物屋を営んでいて、子どもの頃はよく曽祖父母の店先で遊んだものです。


毎月17日は “いなりの日”


あまりご存じの方もいらっしゃらないと思いますが、毎月17日は“いなりの日”と、日本記念日協会によって認定登録されています。17を「い~な」と読む語呂合わせからきているですね。いなりと言えば、油揚げを使った「いなり寿司」が定番ですが、そんないなり寿司を食べる機会を増やしてもらうことを目的にしているのだそう。
ところで、なぜ油揚げを使った寿司を「いなり寿司」と言ったり、そこに狐が関わってくるのでしょうか?


狐は神様。油揚げはネズミ!?


いなりを漢字で書くと「稲荷」となります。この稲荷は「稲(い)生(な)り」が語源で、稲のような食物を司る神を「御饌津神(みけつがみ)」と呼んだのが由来と言われています。この御饌津神に「三狐神(みけつがみ)」という狐を使った字があてられて、いつしか狐が稲荷の神の使いになったということです。狐は稲などの穀物を食べる野ネズミを捕食するので、狐が稲の守り神になったという説もあります。
このような経緯で狐が五穀豊穣や商売繁盛の守り神となったのですが、まだ油揚げと狐の関係が分からないですよね。調べてみたところ、ちょっと衝撃的な事実が発覚しました。

「狐が油揚げを好きだから」という説が一部では有名なのですが、自然界に油揚げが落ちていることなんて当然ありません。では油揚げは何なのか?
実はこの油揚げというのは「ネズミを油で揚げた物」をお供物としていたことからきているようなのです。そして仏教の教えにもある「どんな生き物であろうと殺生はよくない」という理由から、ネズミの油揚げではなく、豆腐の油揚げをお供えしようという流れになったそうです。


そもそも豊川稲荷は稲荷ではない?


稲荷にまつわる歴史を紐解いたところで、もうひとつ意外に知られてしない事実があります。そもそも豊川稲荷は「稲荷神社」ではないんです。豊川稲荷の正式名称は豊川閣妙厳寺(とよかわかくみょうごんじ)と言い、れっきとしたお寺です。また祀られているのは狐ではなく豊川吒枳尼眞天(とよかわだきにしてん)という女神様が祀られています。ではなぜ豊川稲荷と呼ばれるのか?それはこの豊川吒枳尼眞天が稲穂を荷ない白狐に跨っていることから、稲荷の印象が強く残り、いつしか「豊川稲荷」が通称となったからではないかとされています。

詳しくは豊川稲荷のWebサイトにも記載がありますのでこちらでご覧ください。


そんな豊川稲荷ですが、今川義元、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という名だたる武将からも深い信仰を集めていたそうです。話題の大河ドラマにも今後出てくるかもしれませんね。


いざ参拝 ~豊川稲荷で癒される


いろいろ調べてから参拝すると、とても面白いものです。
お寺なのに鳥居があったり、参拝者の多くが二礼二拍手一拝していたり…「全部あってもいいじゃないか」と言わんばかりの独特な世界観がなんとも良い味をだしています。

そして豊川稲荷の本殿を参拝後、気になる文字が…
「きつね塚」とあります。

なんでしょう? 折角の機会なので行ってみました。

圧巻です。

無数の狐の像が鎮座しており、正式には「霊狐塚」と言うそうです。
なんでもここに、大小1000体以上のお狐さまが集まっているのだとか…!

夜訪れたら絶対怖いですが、日差しが入るとなんとも綺麗で、不思議な世界観に魅了されます。帰り道には木々から溢れる木漏れ日や自然の香に癒されました。
参拝だけではなく、ゆっくりお散歩して癒されるのもありですね。

途中で「きつねみくじ」なるおみくじを発見。可愛いきつねの中におみくじが仕込まれています。僕も1つひいてみましたが、何が出たかは…ナイショです。


新旧「稲荷グルメ」を満喫!


参拝と散策で程よく歩いたので、お腹がぺこぺこになってしまいました。今回もうひとつの楽しみにしていた「稲荷グルメ」も堪能していきましょう。最近は定番の「いなり寿司」だけでなく、門前や商店街で油揚げを使ったいろんなグルメを楽しめると聞いていましたので、期待大です!

まずは定番の「お稲荷さん」から。
豊川稲荷の目の前にある、看板が印象的な門前そば山彦さんで「いなほ稲荷寿し」ときしめんをいただきました。

いなほ稲荷寿司は、ひじき、にんじん、しいたけ、くるみが入ったシャリを油揚げで包んだものになります。

甘辛の素朴な味付けでとてもおいしかったです。この日は少し寒かったので暖かいきしめんも有難かった!

次に軽く食べられるものはないかと探していると、松屋さんというお店で「おきつねあげ」なるグルメを発見しました。

揚げたての油揚げと、海苔、味付けネギのシンプルな具材ですが、食べ歩きにはぴったりです。一口食べるとビールがほしくなる美味しさです。サクサク、シャキシャキ、ふわふわといった様々な食感も楽しい。これは自宅でも真似してみたいと思います。

他にも目移りするような稲荷グルメがありましたが、既にお腹がはちきれそうなほどパンパンです(笑) 今度は家族と一緒に来て、もっといろいろ食べてみたいですね。


豊川稲荷は、気軽に遊びに行っても楽しい!


豊川稲荷は、参拝の機会にしか訪れない場所と思われがちですが、実際にはそんなことはありませんでした。歴史を体験できて、自然もたっぷり、美味しい稲荷グルメも堪能できる素敵な場所でした。

特に理由はなくともふらりと訪れてみてはいかがでしょうか?お狐さまの中からお気に入りの1体を見つけるのも楽しいかもしれませんよ。

■豊川稲荷
愛知県豊川市豊川町1
最寄り駅:名古屋鉄道「豊川稲荷駅」/JR東海飯田線「豊川駅」
https://www.toyokawainari.jp/


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