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古えのカメラで記念撮影を 〜寫眞館(しゃしんかん)活動報告

伝統は今を生きる vol.22

こんにちは。フォトグラファーのたかつです。
今回は、僕が最近取り組んでいるお仕事の話をしたいと思います。
それは、昔ながらのカメラを使用した寫眞館(写真館)の企画です。

みなさんが住んでいる町にも「写真館」があるのではないでしょうか?
入学式や七五三など、何かの記念やお祝いにめかしこんで写真を撮りに行く場所です。
一度は利用したことがあるという方も多いのではないでしょうか。

しかし近年、以前はどこの町にも必ずあった写真館が少しずつ減少しているそうです。
デジタルカメラやスマートフォンの普及、少子化やプリント需要の低下に加え、コロナ禍によるハレの日イベントの減少や後継者不足など、原因は様々だと言われています。

僕は写真を生業にしているので、時代の流れだと思いながらも、やはり少し寂しい気持ちになっていました。

———もう一度「写真館」に光をあてることはできないか。

そう思い始めたのが、今も僕のスタジオで不定期開催しているセルフ写真館「アイディアバルブ寫眞館」の企画でした。
このセルフ写真館は仕事の合間にオープンするので、完全予約制。お客様は地元の方が中心でしたが、わざわざ遠くからお客様が来てくれることもありました。
そしてそんな活動を知ってくれた方から声をかけていただき、この夏2つのイベントで「出張寫眞館」を展開することができました。どちらもとても面白い取り組みになりましたので、今回の記事ではその活動報告をしたいと思います。


寫眞館 in 名古屋マリオットアソシア


2022年7月9日と10日の2日間。名古屋マリオットアソシアで「有松イロイロ」という有松絞りPRイベントが開催され、その中で「出張寫眞館」をオープンしました。

こちらの寫眞館では、ただ「マリオットで写真を撮るだけ」では面白味がないと考え、ホテルと有松絞りがコラボした撮影ブースづくりを実施。
具体的にはホテルで使われていた廃棄直前のリネンを引取り、有松絞りの職人の方々に括っていただいたシーツを撮影する部屋に飾りつけ、「白い世界」を演出しました。苦労のかいもあって、お客さまに有松絞りが織り成す非日常世界を体験してもらえる撮影ブースになりました。

もちろん、撮影するカメラにもこだわっています。
今では使うが少なくなってしまった「4x5(シノゴ)」と呼ばれるカメラを使って撮影を行いました。このカメラ、オートフォーカスなんてもちろんありませんし、撮影するのにも色々と手間が掛かります。ですが古いカメラで撮影するという行為そのものにエンターテイメント性を感じてもらいたかったので、今回思いきって採用しました。

「伝統×SDGs×体験」をテーマにしたこの企画。狙いは見事にハマり、2日間の開催で約40人以上の方にご参加いただくことができました。
特に気に入っていただいたお客様の中には「このカメラで遺影を撮って欲しい」という方までいて、想像以上の反響に驚きました。


寫眞館 in豊橋水上ビル


続く8月6日には、豊橋水上ビル(生姜シロップの回で取り上げた場所です)のイベント「水上ビルの夜市」でも出張寫眞館をオープンしました。

この一帯では「朝市」を定期的に開催しているのですが、お客さまから「夜市」も開催してほしいという強い要望があり今回初開催になったということです。
夏場の開催ということもあり、大人も子どもも夕涼みをしながら来場していました。
大人は音楽を聴きながらお酒を楽しんだり、子供は駄菓子やおもちゃを買ってもらったり。みなそれぞれの時間を楽しんでいたように思います。

僕たちはというと、歴史ある商店街の至るところをバックに撮影できるように、今回は「移動式寫眞館」という企画で、カメラを担ぎ商店街を練り歩きながら写真を撮影しました。カメラはこれも今ではあまり見かけない「旧式の中判カメラ」を採用。
携帯性を重視しての選択でしたが、それでもこの大きさです。
現代の一般的なカメラと比較するとこんなに違います。

このカメラを「ポラロイド撮影」できるように改造して撮影しました。

実際ものすごく重いのですが、撮影時の音やカメラのデザインが珍しかったようで、こちらも大きな注目を集めることができました。一時は道ばたに行列ができてしまうほど好評で、2時間ほどの開催でしたが約20名もの方々にご参加いただきました。


新しい写真館のカタチって?


今回、町で寫眞館企画を実施してみて分かったことがあります。
デジタルカメラやスマートフォンが普及したからといって「写真そのもの」が廃れた訳ではないということです。
「写真撮影は楽しい」という、シンプルな気づきに立ち返ってもらうためには、やはりいつもとは違うエンターテイメント性が必要なのだと感じました。

被写体が求めているのは、写真そのものよりも「楽しい撮影体験」なのかもしれません。
モノよりコトという言葉がありますが、今回の企画は写真というモノにコトを加えた「新しい写真館のカタチ」になったのではないかと思います。

これからも体験型エンターテイメントとして「寫眞館」の活動を続けていこうと考えています。また新しい取り組みを、定期的に皆様にお知らせしていきたいです。

デザイナー:おぎはらみなみ/カメラマン:おおつちひろ

■寫眞館「白い世界」制作チーム
企画プロデュース:たかつじゅんや/カメラマン:おおつちひろ/デザイナー:おぎはらみなみ
■水上ビルの余市「移動式寫眞館」制作チーム
企画プロデュース:たかつじゅんや/カメラマン:おおつちひろ



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