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「クリエイターインタビュー:日本画家の子ども時代はどんな子だった?」 
子どもとアートと vol.03
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「クリエイターインタビュー:日本画家の子ども時代はどんな子だった?」 
子どもとアートと vol.03

こんにちは、はるのまいです。
今回は、東海にゆかりのあるクリエイターの方にインタビューをしてみます。

クリエイターって『特殊な才能のある人』とくくられがちですが、そんな方たちにも、子ども時代はあったわけで…
一体、どんな幼少期?親御さんの接し方は?

このインタビューでは、そんなことを聞かせてもらい、子どもたちがクリエイティビティな力を育むヒントを見つけていけたらと思います。


今回インタビューしたのは、日本画家の玉井伸弥さん。2018年に愛知県立芸術大学の大学院博士前期課程日本画領域を修了し、現在は同大学で非常勤講師もしながら作家活動を続けるクリエイターです。

いきなり「日本画家」って難しく思われるかもですが、実は玉井さん、わたしが中学校の美術教員だった頃の生徒の一人なんです。
玉井さんは当時から絵が描くのが得意で、みんなからも一目を置かれる存在でした。中学卒業から大学と年月を経て、日本画家になってからも、ずっと自分の作品展の案内や招待券などをマメに送ってくれる、まぶしい存在の彼。
現在は新進気鋭の日本画家として、東京の百貨店でも個展を行うなど大活躍。日本画のことがよくわからなくても、玉井さんの作品のすごさは、きっと見れば一目瞭然のはずです。

でもわたしが何より彼を尊敬するのは、どれだけ活躍のステージが大きくなっても、出会った当時の面影を残したまま、謙虚に淡々と、努力をし続けていること。
何が今の玉井さんを、つくりあげてきたんだろう?

当時、教室では話せなかったことを、大人になった今、改めていろいろ聞いてみようと思います。

画像1(2016年、愛知県立芸術大学の卒業展にて玉井さんとの2ショット)

そもそも昔から絵が好きだった?


ーーー玉井さんは いつから絵を描くのが好きだったんですか?

玉井:物心つく前から好きでよく描いていたと、母から聞いています。
2歳上の兄が、お絵かき教室に通っていて。教室の先生が、弟もいるなら一緒にどうと言ってくださり、当時3~4歳だった僕も描き始めたそうです。その頃は教室のすみっこで、クレヨンで遊ばせてもらっていた程度だったと思いますが…。

ーーーお兄ちゃんがまずお絵かき教室に通っていたんですね。それ以外でも、家族から影響を受けたと思うことはありますか?

玉井:両親とも絵を観るのは好きで、美術館にはよく連れていってもらっていました。それに父がたまに絵を描いてくれたりもしましたね。簡単な落書き程度でしたが、子ども心に「上手だなぁ」と思って見ていました。

ーーー家族みんな絵が好きで、折に触れて親しんでいたんですね。他には習い事は?

玉井:お絵かき教室の他で言うと、小学校の数年間は水泳教室に通っていました。1〜2年ほどテニススクールにも通いましたが、スポーツは苦手でしたね。やりこむことも続きもしなかったです。

ーーー絵を描く以外では、どんなことが好きでしたか?

玉井:少年マンガを読んだり、映画を観たり、それからレゴも好きでした。またそれらの物語に出てくるような動物や架空の生物とかも好きでした。それが今の作風にもつながっていると思います。

ーーー中学卒業後は、県内有数の進学校の美術科に行きましたよね。いつから「美術科に進もう」って決めたんですか?

玉井:実は中学2年の途中くらいまでは、普通科に行こうと考えていました。親も美術系とかでなくサラリーマンでしたし。
けれど、勉強はそこまで好きではなかったので、サラリーマンでも自分の「好き」が活かせる仕事がいいなと考えました。
それで、しっかりと調べたわけではなかったのですが、例えば大好きなレゴには「レゴデザイナー」みたいな人がきっといて、どういうコンセプトの商品を発売するか決めているんだろうな、そういう仕事をやってみたいなと思ったんです。それには高校から美術科に行った方が近道だと思って。

そして親に相談し、美術科に行くと決めたのが、中学2年生の夏です。ただそれも、兄が普通科で進学した高校に美術科もあるということを知ったのが大きかったです。それまで親も僕も、高校に「美術科」というものがあること自体知らなかったので。

親は、やりたいならやってみたらと、特に反対はしなかったです。それで中2の夏から、近所の絵画教室で、鉛筆の削り方やデッサンから本格的に学び始めました。


ーーーじゃあ最初は、将来はレゴデザイナーになろうと?

玉井:はい。けれど高校入学後すぐに、産業美術(お客さんのリクエストに応えるデザイナーなど)と純粋美術(自分の表現を追求する作家など)の違いがわかって、早々に方向転換しました。僕は性格的に、人からいろいろと言われてものをつくるのがかなり苦手でしたし、デザイナーには向いていないのかなと。


日本画との出会いと、その魅力

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ーーーでは、そこからどうやって日本画に?

玉井:高校の美術科では1・2年時に、油絵、日本画、彫刻という3分野の課題にローテーションで取り組むカリキュラムを受けました。どれも面白かったんですが、油絵か日本画かで迷い、最終的に、日本画の表現に魅力を感じてそちらにしました。

ーーー日本画の表現の魅力って、分かりやすく言うと?

玉井:余白をつくったり、紙の地を活かすところが、西洋にはない日本ならではの美意識だなと思います。
雪を表現するのにも、雪以外の部分を塗って、雪は紙の地の色を活かして表現する。その存在を浮かび上がらせるという考え方が、かっこいい。
自分の作品でも、余白や紙の地を活かすようにしています。

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ーーーなるほど。ちなみに玉井さんは普段どんな画材で描いていますか?

玉井:墨を使って、和紙に描いています。また染料を使って、和紙を染めて風合いを出すこともあります。時には金箔や岩絵の具を部分的に使ったりもしますね。

ちなみに現代の日本画の世界では、岩絵の具という砂状の絵の具を厚塗りした、ぱっと見油絵に近いような絵肌の表現が主流となっています。僕もそういう作品を描いてきましたが、数年前からは自分なりの表現を追求していく中で、古典的な表現により魅力を感じているので、あえて墨で描いている感じですね。

ーーー創作する上で心がけていることは何でしょう?

玉井:モチーフ選びでは、昔からよく描かれてきた龍などが好きでよく描きますが、表現方法は古典の模倣だけで終わらないよう気をつけています。
自分が幼い頃から影響を受けてきた、マンガや映画の表現を取り入れてみるなど、古典を大切にしながら、現代に生きる自分の感性も作品に落とし込むようにしています。
それと、目の描写にはかなりこだわっていて、かわいくなりすぎないよう、アニメっぽくなりすぎないように、自分なりの世界観の中で違和感がないように描いています。

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ーーー確かに!玉井さんの描く目って、すごく印象的ですよね。あと、長引くコロナ禍で創作活動に変化はありましたか?

玉井:大学で非常勤講師もやっているのですが、それ以外は籠もって絵を描いていることが大半なので、自分の生活スタイル自体は大きく変わりありません。より出かける頻度が減り、むしろ仕事の密度は上がったかなあという感じです。
ただ、展覧会が中止になったり、開いてもお客さまが少なかったり、そういう部分では影響が少なからずありますね。
最近、今までは描いてこなかった動物などを描いた新たな作品を発表しましたが、それもいかに「お客さまを飽きさせないか」を考えてというのが大きいです。
年に2~3回個展を開催し、月に1回はどこかのグループ展に参加しているので、よく足を運んでくださるお客さまに目新しい表現を見せたいという思いがあります。


ーーーここまでお話を伺って、玉井さんの誠実な人柄はご家族から受けた影響というのがやっぱり大きそうだと感じました。幼い頃、親御さんにしてもらったことで良かったなと思うことは何かありますか?

玉井:思い返してみると「褒められる機会」が大事だったかなあと思います。特に幼少期は、絵や工作をよく親がいいねって褒めてくれて…
「褒められてうれしい」という気持ちが、もっと上手くなりたいとか、もっとこんなものを描いてみたいとか、そういうモチベーションにつながったように思います。
いまだに個展などの会場でお客さまから「素敵だね」とか言われたりすると、素直に嬉しいものですし、誰かに褒められたり認められたりすることは、創作のモチベーションのひとつになっています。また、親からやりたいことを反対されたことがなかったというのも、より専門的な道を追求するきっかけになったのかもしれませんね。


ーーーありがとうございます。最後に、玉井さんがこれからやってみたいことは?

玉井:お寺にある龍の天井画を、いつか自分でも描いてみたいですね。作品は作者が亡くなった後も残りますから、そういう作品を創作できたらいいなと思います。

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日本画を観る時のポイントは?

インタビューの後、読者の方へのメッセージとして「日本画家を観る時のポイント」を聞いてみました。これを知ってるだけで、また美術館へ行くのが楽しくなりますよ!


1 日本画は、難しく考えずに自分の感覚で楽しんで!
これかわいい!なんとなく好きかも!それくらい気軽な感覚で、日本画はぜひ「原画」を見てほしいです。特に日本画は、筆使いに特徴があったり、金箔でキラキラしていたり、印刷物やSNSの画像だけでは伝わらない魅力があります。

2 作家ごとの落款(サイン)に注目!
作家によってそれぞれ異なる落款に注目するのも日本画の楽しみ方のひとつです。僕も絵とのバランスや世界観を考えて、篆刻師さんにオーダーして落款を作ってもらってます。

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3 額にも、作家のこだわり有り!
額にするか、掛け軸にするか、作品に合わせて選んでいます。額の色、作品の下に敷くマットの布地や余白の幅なども計算し、きちんと額屋さんで額装してもらっていますので、ここにも注目してもらいたいですね。


玉井さんの作品を購入される方は、実際のところ40〜60代くらいの方の割合が多いそうですが「観るだけでももちろん大歓迎!」とのこと。個展にはお子さま連れの方もよくいらっしゃるということで、そうしたお客さまからの反応やコメントをもらうのも、創作の励みになっているそうです。

今回の記事で、日本画の世界を、少し身近なものに感じてもらえたでしょうか?
わたしは子どもがやりたいと思ったことには、まずやってみたら、と背中を押して応援できる親でありたいなと、玉井さんのお話を聞き改めて思いました。
「ちょっと難しそうだな」と思っていた世界も、その道の人に話を聞いてみると、意外な発見があってワクワクします。
日本画家・玉井さんのお話が、新しい出会いや発見につながれば嬉しいです。

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■今回インタビューしたクリエイタ
日本画家 玉井伸弥さん 
Instagram:
https://www.instagram.com/tamaishinya_/?hl=ja


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