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花、暮らし、私。

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【ライター】出水佳恵 空間デザイナーとして飲食店・美容サロンの設計デザインを手がける傍ら、フリーのフラワーデザイナーとしても活動。「花」と「暮らし」がもっと身近になる記事を発信し… もっと読む
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記事一覧

花屋の新しい姿〜 三重県菰野町で出会った花との時間。

花、暮らし、私 vol.26 ここ数年、ワーケーション施設の充実やサウナ施設のオープンなど、何かと話題にのぼる三重県菰野町をご存知でしょうか? アクアイグニスや湯の山温泉もあり、ゆったり休日を過ごすのにもぴったり。御在所岳の麓ならではの山あいの景観も楽しめるうえ、名古屋から車で1時間ほどの距離でアクセスも抜群の立地にあるこの町は、年々新しい賑わいを見せています。 今日はそんな菰野町に今年3月に誕生したオススメの新スポットをご紹介します。 花匠 佐々木直喜さんとの出会い

早朝の花市場から学ぶ -花のある日常-

花、暮らし、私 vol.25 慌ただしい一日を終え、街が寝静まるころ。 人々の生活とはうらはらに、人知れずひっそりと動き出す場所があります。 名古屋の中心部からほんの少し離れただけのその場所は、まだ真っ暗な闇の中、どこよりも活気に溢れる空間となります。 ——花市場。 街中の花屋さんが集まり賑わうその場所は、私たちの生活に欠かせない場所であるのに、私たちが知る機会があまりに少ない場所でもあります。 普段、手にしているお花がどこから来ているのか…?なんとなく知っているよう

大切なひとに贈りたくなる“華おはぎ”の世界

花、暮らし、私 vol.24 年末の合言葉。 “あっという間。一瞬だった”、という言葉が出るのは毎年のこと。 気がつけばもうあと数日で新しい年が明けますね。みなさんのこの一年はどんな年になったでしょうか? 名古屋ではクリスマスイブに初雪となり、ホワイトクリスマスイブを喜ぶ声がそこかしこから聞こえてきました。雪だるまをつくって楽しんでいるSNSも多かったですね! 今年の私のクリスマスは、とても楽しく美しく、美味しい「華おはぎ」の世界へと足を踏み入れていました! 華おは

街を彩るディスプレイの世界 - BELIEVE IN LOVE –の裏側を覗き見する

花、暮らし、私 vol.23 朝晩の冷え込みが厳しくなってきたこのごろ。冬もすぐそこですね。 この時期は特に、街を歩くのが楽しくなります。 街路樹の落ち葉がこんもりと脇道に寄せられ、ふかふかの山となっているのです。 街中を歩いていても、少し彩度を落とした赤や黄色、茶色の落ち葉がそこかしこに。普段何も感じないようなコンクリートやブリックの味気ない道が、その音・匂い・感触・色によってとても可愛らしく彩られ、特別な道となるのです。何を隠そう、私は落ち葉がとにかく大好きなのです

八事の静かな通りにある、花と過ごすリトリートカフェ

花、暮らし、私 vol.22 ちらほらと、紅く染まる木の葉に見惚れるこの時期。 昨年の今頃、空間デザインのお仕事で素敵なお花屋さんと密に打合せを重ねていたのを思い出します。 名古屋市 八事の静かな通りに、小さいながらも存在感を放つお店、【FLOWERS & RETREAT ENKI 】がオープンしたのは今年の初め。 「日常を忘れて、花と共に特別な隠れ家でくつろぐような空間にしたい」という、店主である前田さんの想いから、"リトリート"という名が冠されたアトリエ兼カフェで

やさしいお花 ~オーガニックフラワーという選択肢

花、暮らし、私 vol.21 つい先週まで、暑い、暑い! と薄着で出かけていたのに、なんだか急に秋めいてきましたね。花の仕入れがある早朝は、ひやっと肌寒く、長袖が必要に。なんとなくコーヒーが以前よりも恋しくなり、山の近くの森林公園に遊びに行くと、木々の葉っぱの先の方が、ほんのり色づき始めている。小道はふかふかの敷松葉。そんな姿を見ると、なんだか嬉しくなります。 秋口になると思い出すのが、三重県のある農家さんとの出会いです。 私がInvisible flowerを立上げて

花と、私と、フランスの日々② 花の都パリへ!

“花の都“。 この言葉を聞いて、みなさん思い浮かべるのは、きっとこの街なのではないでしょうか。 そう、ここはパリ。 前回のフランス編:田舎の風景 から少し時間を巻き戻し、パリの様子やその他にも訪れた街の様子をお届けします。 冒頭に書いた、“花の都”という言葉。 実はこれ、街に花が溢れている!のではなく、都を指す枕詞だというのはご存知でしたでしょうか? 所以には諸説ありますが、ナポレオンによる大改革の後の1800年代後期~1900年代初頭、多くの芸術家がこの街に集まり

花と、私と、フランスの日々 ①

花、暮らし、私 vol.19 ジリジリと鋭く刺さるほどの日差し。眩しいくらいに青い空。 どこを見ても終わりのない、ベージュ色と緑のまるでテキスタイルのような畑の連なり。 今回の記事は日本から離れ、フランスからお届けしています。 ここはフランス南部、スペインにほど近いトゥールーズという街。 航空産業が盛んで、多くの雇用を生み出しているAIRBUSの本社があります。街の中心部は程よく栄えていて、多国籍の人種が住んでいるメトロポリタン。さほど広くなく、狭すぎず、少し離れるとす

「蓮の花」の生命力と想いを込めて

花、暮らし、私 vol.18 7月もそろそろ半分が過ぎますね。 このくらいの季節になると、必ず思い出す風景があります。 田舎道を走っているとふと現れる、一面の蓮畑。 あたりは全て、大きな蓮の葉っぱだらけ。見渡す限りの鮮やかな緑の合間にすっと見える、ふわふわの白い花弁やぎゅっと締まった蕾たち。 実家の引越し先で、数年だけ暮らしたことのある愛西市。あまりご存知のない方も多いと思いますが、愛知県の最西部に位置し、全国でも有数な蓮根の生産地なのです。 蓮根の収穫は秋から春頃。7

花との対話

花、暮らし、私 vol.17 先日の父の日のこと。 花束とギフトを渡しに実家に行き、久しぶりに両親と囲む食卓を楽しんだ後、 「そういえば、整理してたら出てきたよ。」 と、母が棚から出してきてくれたものがありました。 幼稚園時代から中学時代までの通知表や写真など、なんとも懐かしく恥ずかしくもある物が束になって、大切に保管されていました。 小学校の通知表って、成績だけでなくどんなクラブや部活に入っていたか、授業態度や先生から見た私の性格なんかも書かれていたりして、思わずク

文化をつくる“次世代の花屋” TAIYO FLOWER

花、暮らし、私 vol.16 よく晴れた初夏の一日。 今回訪れたのは、昨年夏、名古屋市北区にオープンした「TAIYO FLOWER」さんです。 実は、昨年のお店がオープンして早々、花つながりの知人からその存在を聞いていたのですが、仲間内でちょっとした話題になっていました。 『藤井商店の息子さんが開いた花屋』 このフレーズは、花市場に顔を出す人には「!」となる、ちょっとしたニュースでした。 というのも、私が勤めていた花市場は、小さな仲卸商店がいくつも集まってできています

自然や環境についてのぞいてみる 〜 Re! Flower garden 活動報告

花、暮らし、私 vol.15 こんにちは。フラワーデザイナーの出水です。 今回の記事はいつもとは趣向を変えて、現在 松坂屋栄店で開催されているイベント[Re! Flower garden]で携わらせていただいた、invisible flower(廃棄花のものづくりブランド)の活動リポートをお送りしたいと思います。 Invisible flower (インビジブル フラワー)とは? 2019年より「廃棄花を人の手に届け、廃棄花をなくしていく」ことを目標にスタートしたinvi

植物の力を借りる② 植物セルフケアMANARIに学ぶ、東洋思想×フィトテラピー

花、暮らし、私 vol.14 前回の記事では「植物療法(フィトテラピー)」について、身近な薬草を知るところから始まりました。 「花が好き」から始まった私の植物への愛は、知れば知るほど、その美しい見た目だけでなく、香りやエネルギー、生命の神秘の部分まで、どんどん深部へと潜っていくのを感じています。 とはいえ、植物療法を専門的に学ぶには、なんとなく大きな壁を感じてしまっていたのも正直なところ。 特に身体へ直接作用するような植物のことは、きちんと学ばないと、ちゃんとした効果

植物の力を借りる ① “フィトテラピー”の扉 

花、暮らし、私 vol.13 4月の中ごろ。 つい最近まで、華やかな桜に、暖かくなってきた空気に浮かれていたのも束の間。急に夏のように感じるほどの強い日差しに汗ばんだり、何回めの寒の戻り?というくらい、急に冷え込んだり。 しとしと降る雨の音を聞きながら、冷え込む春の1日に記事を書いています。コロコロと変わる気温について行くのがなかなか大変な季節ですね。 こんな時こそ、普段の体調管理に気をつけなければ、と思ってはいるのですが、何をしたらいいかもわからず、とにかく生姜湯を飲