見出し画像

持続可能な結婚生活をサポート!弁護士がすすめる「婚前契約書」とは。

こんなところにサステナブル vol.6

こんにちは。コピーライターのつかもとちあきです。

6月といえば、ジューンブライド。結婚するふたりにとって、結婚式をはじめ、新居にそろえるアイテム選びは夢のよう。わくわくしながら結婚準備を進めている人は多いでしょう。

「結婚あるある」ですが、結婚式や新生活に向けてアイデアを出し合っているときはテンションMAXなふたりも、実際に生活を始めてみると急展開。生活リズムの違いや、仕事や家事に対する考え方の違いによってケンカをし、夫婦間に溝ができてしまうなんてことも。そのたびに、すぐに話し合いをして解決できればいいのですが、一度溝ができてしまうと精神的に追い詰められ、結局離婚を選択する人は少なくないと言います。

離婚理由の上位は「性格が合わない」「精神的に虐待する」
<引用元:裁判所年報(令和2年度 家事)
第19表婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別―全家庭裁判所>

幸せなはずの結婚が、さまざまな「ちがい」によって、不幸なことにならないように。結婚生活を持続可能にするカギが、今回ご紹介する「婚前契約書」です。

東海エリアを中心に、離婚問題、離婚後のシングルマザー支援などに取り組む弁護士の森上未紗先生にお話を聞きました!


結婚する「前」に、ふたりの今とこれからについてルールを決めておく

弁護士の森上未紗先生

アメリカやヨーロッパでは100ページをこえる契約書を交わす人がいるなど、すでに市民レベルで婚前契約が浸透しているそうですが、日本ではあまり普及していないと言います。しかし、森上先生は今こそ婚前契約書を交わすべき時代に来ていると言います。

婚前契約書のおすすめ理由①
結婚式が減っているから

森上:最近、結婚式を挙げずにパートナーとの新生活を始めるケースが増えています。結婚式は、夫婦ふたりで行う、いわば“初めての共同作業”です。結婚式を挙げないことで金銭感覚や趣味趣向の細かいところまで互いに認識することができないまま、新生活を始めてしまうと、感覚のズレにあとで気付き、トラブルになることが少なくありません。結婚前に、しっかり話し合えるふたりでいることが大切です。

婚前契約書のおすすめ理由②
日本人はお金について話し合う文化がないから

森上:昔は、男性が外で働いて生活費を稼ぎ、そのお金で家族が生活していくケースが多くありました。今は男女が共働きのケースが増えており、互いに自立して働いているのですから、例えば食費は妻、家賃や固定費は夫など、互いの収入や働き方に合わせて納得いくかたちで分担できるように、話し合っておくことが大切です。
男女で、お金に対する感覚に差があることも、よくあるパターンです。男性は、自由が欲しい。1人で遊ぶお金を残しておきたいと考える方が多いように思います。一方女性は、家族第一で、節約に励んでいきたいと考える方が多い。どちらも悪くなく、描いていることがちがうだけなんです。だからこそ、婚前契約書で、結婚する前に着地点を共有しておくことが必要になってくるんです。

婚前契約書のおすすめ理由③
契約は結婚前にしないと効力がないから

ここで、森上先生が衝撃の事実を教えてくださいました。

森上:なぜ「婚前」の契約書なのか、疑問を持たれる方もいると思いますが、これは、民法で決められている財産制度と異なる契約をする場合について、「婚姻の届出まで」とされていることによります(民法第756条)。

また、民法上、結婚後に結んだ契約は取り消すことができるとされています。

民法第754条
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

結婚後に「このルールは言語化しておかないと!」と思って契約を結んでも、取り消されてしまう恐れがあるんです。また、夫婦の財産についての契約も、結婚前までに締結しなければ、基本的に民法の定めによることになってしまいます。
婚前契約書は、当事者間で作成するかたちでも有効ですが、公正証書にすることで、後で争いになる可能性も低くなります。

森上先生が、ふたりが話し合うべきおすすめの婚前契約内容について、優先順位の高い3つをピックアップしてくださいました!

森上:「①生活費の管理方法」と「②貯蓄のプラン」はともに、お金に関わること。今の暮らしにおいて、衣食住に関わる生活費をふたりでどうやって分担して出していくか、数値化、言語化しておくといいでしょう。そして、将来の暮らしにおいて、何年後に何をしたいからこれだけ貯める、というふうに、貯蓄のプランをすり合わせておくことで、“こんなはずじゃなかった”というケンカが回避されると思います。

もともと異なるところで生まれ育ってきたふたりだから、価値観の違いでケンカすることはあるでしょう。そうしたときに、「③けんかの時の仲直り方法」を決めておくことをおすすめします。第三者のカウンセリングを受けることもいいですね。ケンカをしても、その後、お互いが納得して一緒の道を歩いていけるように、冷静なときに話し合っておくことが望ましいです。


婚前契約書で、依存ではなく、共存が実現する。


――森上先生は離婚訴訟に関わる中で、婚前契約書をすすめるようになったのですか?

森上:私は弁護士ですが、争いごとが好きではないんです。離婚のときって、“相手への恨みを晴らす”みたいな感じで、いろいろな請求をしていくことが多いんですが、私は、相手より自分とお子さんに焦点を当ててほしいなと思っています。離婚しても、幸せに生きないといけない。特に子どもがいたら、子どもには何の罪もないのだから、子どもを育てる親自身が精神的にも経済的にもよい状態で生きている姿を、子どもに見せてほしいと感じます。そのためには、自分でコントロールできる範囲を増やすことが大切。婚前契約書を結んでおくことで、どれだけお金があって、どんな生活設計ができるか、トラブルになったら自分は相手に対してどうすればいいのかが明確になりますから、相手に依存せずに、その時々で、自分で判断できますし、婚前契約書を作成することで、話し合いをするための土台ができます。

婚前契約書は、子どもの未来を支えるものでもある


元生徒会長で、ソフトボール部。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のインターンで難民支援にも携わってきた情熱あふれる森上先生は、離婚相談への対応だけでなく、離婚問題で辛い毎日を送る人たちの支えになるYouTubeも配信しています。

自らの情熱を、悩んでいる人たちへの支援につなげたいというド直球の熱意を受けて、こちらも元気がみなぎってきました。


■元気がでる離婚弁護士 森上未紗
https://rikon-nagoya.com/
■離婚しない結婚
https://prenup-konzenkeiyaku.com/


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!