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江戸時代から続く伝統技法でつくる “お子様の似顔”五月人形

5月5日は こどもの日。この日は五節句の「端午の節句」にあたり、五月人形には男の子が病気や事故などから逃れ、力強く成長してくれることを願う想いが込められています。今回の特集記事では、そんな五月人形を伝統的な技法を用いてつくり続ける若き職人にスポットを当てました。向かったのは、愛知県岡崎市で70年以上続く老舗「味岡人形」です。

笑顔が素敵な味岡人形 三代目 味岡映水さんが色々なご質問に答えてくれました


江戸時代、武家の男の子を災厄から守る意味で飾られた「五月人形」

——よろしくお願いいたします。味岡映水さんは三代目と伺っていますが、まずは味岡人形について教えてください。

味岡:はい。味岡映水の初代が私の祖父で、父である先代から今は私がその名を引き継いでいます。味岡人形は、経済産業大臣指定の伝統的工芸品である「名古屋節句飾(なごやせっくかざり)」に使用されるお顔をつくる工房で、昭和23年からこの地で人形づくりを続けています。

——三代目はいつ頃から人形師になろうと?

味岡:幼い頃から祖父や父の背中をずっと見てきて、残すべき本物の仕事だと感じていました。大学を出て、自然な流れで人形師になったと思います。もちろん最初はゼロからのスタート。昔は人形師の世界で「見て学ぶのが基本」と聞いていましたが、時代なのか祖父も父も色々と丁寧に教えてくれたように覚えています(笑)。それでも自分の中で少し満足できるものがつくれるようになったのは、ここ3~4年になってから。いまようやく職人歴15年ぐらいですが、日々勉強だと感じています。

——ありがとうございます。そもそも、五月人形の歴史はいつ頃から始まっているのでしょうか?

味岡:諸説ありますが、端午の節句は古代中国の「五節句(人日の節句、桃の節句、端午の節句、七夕の節句、重陽の節句)」の一つでした。季節の変わり目を意味する節句の一つである端午の節句の時期は、病気が流行り、邪気が集まりやすいとされ、厄除けの為に菖蒲や蓬(よもぎ)を飾り、無病息災を願っていたのです。日本で五月人形を飾る風習が広まったのは江戸時代からと言われています。武士の家で災厄から男の子を守る気持ちを込めて飾られるようになりました。

味岡:また、五月人形は人形本体の他に「鎧兜」を飾ります。これは、日本で武士が台頭してきた鎌倉時代から、武家では梅雨の目前に鎧兜を出して虫干しや手入れをするために飾っており、それが端午の節句に兜や弓を飾る風習として残ったものです。鎧兜や武具などは、戦いの道具というとらえ方もありますが、身を守る大切な装備品です。そのため、五月人形は「子どもに降りかかる災厄から守ってほしいという」願いを込めて飾ります。

そして江戸中期。武家だけでなく庶民の間でも五月人形が浸透した頃に「桐塑頭(とうそがしら)」という、私たちが今も受け継いでいる技術が生まれました。桐塑頭はいわゆる型抜きの技法で、桐の木の粉にしょうふ糊を混ぜ、生地抜きをし、胡粉(ごふん)を何度も何度も塗り重ねることでお顔をつくっていきます。木彫りよりは多くの顔をつくれるのですが、それでもひとつ完成するまでに1カ月程度はかかるので大変です。

——江戸時代からの技術が今も生き続けているんですね。

味岡:そうですね。ただ戦後 高度経済成長期時代になると、大量生産を目的に多くの人形が「石膏頭(本頭)」でつくられるようになりました。伝統の技法よりも工程を大幅に短縮することができ、コストも抑えられるため海外でも多くつくられています。色々な五月人形があっても良いと思いますが、本物ならではの良さを知っている職人としては少し寂しいですね。

——ぜひ、その違いについても伺いたいです!


まるで本物の人間のような表情をみせる五月人形を。

味岡:桐塑頭の工程は、原型から抜型をつくるところからはじまります。使用するのは、桐の木の粉、胡粉(貝殻の粉)、膠(にかわ)などの天然素材。赤ちゃんはもちろん環境にもやさしい素材です。抜型から生地をつくり、ガラスの目を入れたら、胡粉を十数回塗り重ねます。そこから目、鼻、口を小刀で彫刻することによりつくられるお顔は、正に世界にひとつの作品と言っていいでしょう。

味岡:石膏頭ですごく良い出来のものももちろんあるんですけど、桐塑頭と比べてみると立体感が全く違いますよね。桐塑頭は桐の木の粉や貝殻の粉などの天然素材を使用し、目、鼻、口などをすべて手彫りで表現します。口の中にある歯や舌も手作業で表現しているので、深みというか存在感が出るんです。また、桐塑頭のお顔は10年20年経つと艶が出て味のある表情になってくるのも特徴です。ただ、ひとつひとつ手作りなので、頭の良し悪しが職人の腕に左右されます。それは同じ顔がひとつとしてないということ。それだけ希少価値があるとも言えるのではないでしょうか。

——ひとつひとつ手作りだから、こんなにも人間味がある表情になるんですね。ちなみに工程の中で一番大変なところはどこでしょうか?

味岡:ぜんぶ大変なんですが、個人的な一番を挙げるとすれば「表情を彫刻」する時でしょうか。仕上げの段階は絶対に失敗できないので本当に神経を使います。この工程の前はいつも落ち着かなくて、ウロウロ工房を歩き回ってから「ヨシッ」と意を決したように作業をはじめています(笑)


お写真からお子様に似せたお顔をつくるオーダーメイド五月人形。

——写真をお渡しすることで、お子様のお顔に似せた五月人形をつくれるサービスもあると伺いました。

味岡:はい。これは私の代からはじめたもので、もともと手作り人形の良さを伝えるための試みだったのですが、おかげさまで大好評のサービスとなっています。今では地元愛知県だけでなく日本全国からオーダーをいただいているんですよ。

お子様のお写真から、そっくりの五月人形に!

——お子様のお写真から、お顔を似せた五月人形に!

味岡:お客様にもこちらがビックリするぐらい喜んでもらえるので、職人としてもとてもやりがいがあります。「感動して涙が出た」とか「一生の宝物にします」とまで言っていただくと、この道を選んで良かったと感じますね。そしてオーダーメイド五月人形では、お着物の生地も豊富な種類の中から自由にお選びいただくことができます。飾り台や装飾品、小物等も多数ありますので、お子様と一緒にショールームにお越しいただいて、いろいろな組み合わせの中からお好みのものを選ぶのも楽しいと思いますよ。もちろん職人による製造直売なので、アフターサービスもしっかりしています。いつまでも大切にしていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。


徳川家康など戦国武将をモチーフにした「馬乗り大将」のセットも!

味岡:また、徳川家康や武田信玄、上杉謙信をはじめとした人気の戦国武将をイメージした「馬乗り大将」のセットも承っております。こちらも台や屏風、道具も色々な種類の組み合わせが選べるほか、もちろん人形もお子様に似せてお作りいたします。

大河ドラマでも話題の徳川家康公をモチーフにした「馬乗り大将」


様々な取り組みを通じて、より多くの方に伝統的な五月人形の良さを知ってもらいたい。


味岡:江戸時代には当たり前にあった桐塑胡粉仕上げの技術を伝える職人も、今では私も含めて日本で数人のみとなってしまいました。伝統技法でしか表現できないぬくもりや美しさを大切にして、これからも人形をつくり続けていきたいです。私はブログでもほぼ毎日、その日の人形づくりの様子を発信していますが、職人の仕事は経験を積めば積むほど新たな発見があります。これからも様々な取り組みを通じて、後世に本物の良さを伝えていけるような作品づくりが出来たらと思います。


今ならご購入で「お子様の生まれ年の干支人形」をプレゼント!

今回みたすショップを経由してオーダーメイド五月人形をご購入された方には、カスタマイズした五月人形の着物と同じ布地を使った「干支人形(お子様の生まれ年の干支)」をプレゼントします。先着5名様限定となりますので、お早めにご予約ください!

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※写真は一例です。1点のご購入につき1点の特典となります。
※特典は、2023年3月31日までにご注文いただいた方に進呈いたします。


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